最終更新: (令和8年分・国税庁タックスアンサーNo.1122/1124/1126に基づく)
医療費控除の対象になるもの・ならないもの一覧——交通費・歯科・出産・市販薬まで
結論から言うと、医療費控除の対象は「治療のために一般的に必要な費用」で、対象外は「予防・健康増進・美容目的の費用」や「自己都合による快適さ・謝礼」です。たとえば通院の交通費は公共交通機関なら対象、自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外。入院中の食事代は対象、自己都合の差額ベッド代は対象外——というように、「治療に直接必要か」で線引きされます。この記事では国税庁の区分にそって代表例を一覧にまとめました。個別の品目の最終判断は税務署によるため、迷ったときは確認先もあわせてご案内します(金額はすべて概算・目安です)。
はじめに:この一覧は「代表例」です(最終判断は税務署へ)
医療費控除の対象になる医療費は、その病状などに応じて「一般的に支出される水準を著しく超えない部分」に限られます(国税庁 No.1122・2026年7月24日取得)。同じ費目でも、治療目的か・美容や予防が目的かで扱いが変わることがあります。
そのため本記事は、国税庁が示す代表的な区分を一覧にしたもので、個別の品目・ケースの可否を断定するものではありません。判断に迷う費用は、税務署や国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で確認してください。まず制度全体を知りたい方は医療費控除とは(仕組み・いくらから・いくら戻る)を、戻り額の目安は医療費控除シミュレーターをご覧ください。
1. 対象になるもの・ならないもの(かんたん一覧)
まず全体像を、国税庁 No.1122 の区分で整理します(2026年7月24日取得)。
| ◯ 対象になるもの(主な例) | ✕ 対象にならないもの(主な例) |
|---|---|
| 医師・歯科医師による診療・治療の対価 | 健康診断の費用(原則) |
| 治療・療養に必要な医薬品の購入費 | 医師などへの謝礼 |
| 治療目的のあん摩マッサージ指圧・はり・きゅう・柔道整復の施術費 | 通院での自家用車のガソリン代・駐車場代 |
| 保健師・看護師などによる療養上の世話の対価 | 公共交通機関が使えるのに使ったタクシー代 |
| 助産師による分べんの介助の対価 | 美容・健康増進目的のもの、一般的水準を著しく超える部分 |
| 通院費(原則、公共交通機関の運賃)・入院の食事代など、通常必要なもの | 自己都合の差額ベッド代、入院時の身の回り品 |
出典:国税庁 No.1122/1124/1126(2026年7月24日取得)。以下の章で、通院交通費・出産・入院・歯科・市販薬・健康診断を個別に見ていきます。
2. 通院の交通費——原則は公共交通機関
治療のための通院にかかった交通費は、原則として電車・バスなど公共交通機関の運賃が対象です(No.1122)。付き添いが必要な子どもの通院に付き添う人の交通費なども、通常必要な範囲で対象になります。
一方、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は対象外です。また、公共交通機関が使えるのに使ったタクシー代も対象になりません。ただし、電車・バスでの移動が困難でやむを得ずタクシーを利用した場合は対象になります(具体例は次章の出産のケース)。
3. 出産の費用——定期検診は対象、里帰りの帰省費は対象外
出産に関する費用の代表的な区分は次のとおりです(国税庁 No.1124・2026年7月24日取得)。
| ◯ 対象 | 妊娠と診断されてからの定期検診・検査の費用、通院費用/出産で入院する際、電車・バスが困難でやむを得ず使ったタクシー代/病院に支払う入院中の食事代 |
|---|---|
| ✕ 対象外 | 実家で出産するために帰省する交通費/入院時に買った寝巻き・洗面具など身の回り品/病院からの出前・外食の費用 |
なお、出産育児一時金は「保険金などで補填される金額」として、医療費控除の計算で医療費から差し引きます(No.1124)。補填の差し引き方は医療費控除とはの記事で解説しています。
4. 入院の費用——食事代は対象、自己都合の差額ベッド代は対象外
入院に関する費用の区分は次のとおりです(国税庁 No.1126・2026年7月24日取得)。
| ◯ 対象 | 入院中に病院で出される食事代(入院費に含まれる)/付添人を頼んだときの付添料(療養上の世話の対価・所定料金の範囲) |
|---|---|
| ✕ 対象外 | 本人・家族の都合で個室にした場合の差額ベッド料/寝巻き・洗面具などの身の回り品/医師・看護師への謝礼/親族に付添料の名目で支払ったもの |
「病院で出される食事代」は対象ですが、出前や外食は対象外です。差額ベッド代は、治療上の必要からではなく本人・家族の都合で個室にした場合が対象外という整理です。
5. 歯科・インプラント・歯列矯正——治療目的かどうかで変わる
歯科の診療・治療の対価は対象です(No.1122)。ただし、対象になるのは「一般的に支出される水準を著しく超えない部分」に限られ、美容目的のものは対象外です。
検索の多いインプラントや歯列矯正については、治療目的なら対象になり得ますが、美容目的なら対象外という一般的な線引きにとどまります。実際に対象になるかは、治療の必要性など個別の事情によって変わるため、本記事では個別の可否を断定しません。判断に迷う場合は、税務署や確定申告書等作成コーナーで確認してください(項目別のくわしい解説は、下の「項目別のくわしい解説」の各記事でご案内しています)。
項目別のくわしい解説(個別ページ)
検索の多い項目については、それぞれ個別の記事で「対象になる条件・ならない条件」をくわしく解説しています。ご自身の費目に近いものからご覧ください。
- 歯の治療 — インプラントは医療費控除の対象? / 歯列矯正は医療費控除の対象?
- 補聴器 — 補聴器は医療費控除の対象?(診療情報提供書)
- 目の矯正・手術 — レーシック・眼鏡・コンタクトは医療費控除の対象?
- 健康診断・人間ドック — 人間ドック・健康診断は医療費控除の対象?
- 介護・おむつ — おむつ代は医療費控除の対象?(おむつ使用証明書)
- 予防接種 — 予防接種は医療費控除の対象?(原則対象外とB型肝炎の例外)
- 不妊治療 — 不妊治療は医療費控除の対象?(助成金の差し引き)
6. 市販薬——治療用は対象/セルフメディケーション税制という選択肢
ドラッグストアなどで買う市販薬でも、治療または療養に必要な医薬品の購入費は対象です。一方、予防や健康増進のための医薬品の購入費は対象外です(No.1122)。
また、市販薬のうち一部(医療用から転用されたスイッチOTC医薬品など)については、通常の医療費控除に代えてセルフメディケーション税制という特例を選べる場合があります。年間の対象購入費のうち12,000円を超える部分(上限88,000円)が控除対象で、通常の医療費控除とは選択適用(どちらか一方のみ・併用不可)です。適用期限は令和8年(2026年)12月31日までで、対象品目は厚生労働省の一覧で確認します(パッケージの識別マークが目印です)。
どちらが有利かは医療費の額によって変わります。両方を計算して有利な方の目安を出すには医療費控除シミュレーターをご利用ください。
🧮 医療費の合計から「いくら戻るか」の目安を試算する(医療費控除シミュレーター)7. 健康診断・人間ドック——原則は対象外(例外あり)
健康診断の費用は原則として対象外です(No.1122)。健康診断は治療ではなく、病気を見つけるための検査だからです。同じ理由で、医師などへの謝礼も対象外です。
ただし例外があります。健康診断の結果、重大な疾病が見つかり、引き続き治療を受けた場合には、その健康診断の費用も医療費控除の対象になり得ます。人間ドックも同様の考え方で扱われます。この判断も最終的には税務署によるため、迷う場合はご確認ください。
8. 迷ったときの確認先・次に読みたい記事
- 個別の費用が対象になるか確認したい — 税務署、または国税庁の確定申告書等作成コーナー
- 制度の仕組み・いくらから・いくら戻るを知りたい — 医療費控除とは
- 自分はいくら戻るのか試算したい — 医療費控除シミュレーター
- 申告のやり方・明細書の書き方を知りたい — 医療費控除のやり方(確定申告・明細書)
- 市販薬で控除を受けたい/どちらが得か — セルフメディケーション税制とは
- 入院・手術の窓口負担の上限を知りたい(高額療養費) — 高額療養費制度とは / 高額療養費シミュレーター
よくある質問
- Q. 通院にかかった交通費は対象ですか?
- 治療のための通院は、原則として電車・バスなど公共交通機関の運賃が対象です。公共交通機関が使えるのに使ったタクシー代は対象外ですが、移動が困難でやむを得ずタクシーを使った場合は対象になります。自家用車のガソリン代・駐車場代は対象外です。個別の可否は最終的に税務署の判断になります。
- Q. 自家用車のガソリン代や駐車場代は対象になりますか?
- 通院で自家用車を使った場合のガソリン代や駐車場代は対象になりません(No.1122)。通院費として認められるのは原則として公共交通機関の運賃です。判断に迷う費用は税務署や確定申告書等作成コーナーで確認してください。
- Q. 入院の差額ベッド代や食事代は対象ですか?
- 入院中に病院で出される食事代は対象(入院費の一部)です。一方、本人や家族の都合で個室にした場合の差額ベッド料は対象外です(No.1126)。寝巻き・洗面具などの身の回り品、医師・看護師への謝礼も対象外です。付添料は療養上の世話の対価として対象ですが、親族に付添料の名目で支払ったものは対象外です。
- Q. インプラントや歯列矯正は対象ですか?
- 歯科の診療・治療の対価は対象ですが、対象になるのは一般的な水準を著しく超えない部分に限られ、美容目的は対象外です。インプラントや歯列矯正が対象になるかは治療目的か美容目的かなど個別の事情によって変わるため、本記事では個別の可否を断定しません。最終的な判断は税務署にご確認ください。
- Q. 健康診断や人間ドックの費用は対象ですか?
- 原則として対象外です。ただし、その健康診断の結果重大な疾病が見つかり、引き続き治療を受けた場合には、その費用も対象になり得ます(No.1122)。予防・健康増進のための医薬品の購入費も対象外です。個別の判断は税務署でご確認ください。
参考にした一次情報(取得日2026年7月24日)
- 国税庁 タックスアンサー No.1122「医療費控除の対象となる医療費」— 対象・対象外の類型、公共交通機関の通院費、自家用車・謝礼・美容目的、健康診断の例外。nta.go.jp
- 国税庁 タックスアンサー No.1124「医療費控除の対象となる出産費用の具体例」— 定期検診・やむを得ないタクシー代・入院食事代、里帰り帰省費・身の回り品、出産育児一時金の差し引き。nta.go.jp
- 国税庁 タックスアンサー No.1126「医療費控除の対象となる入院費用の具体例」— 食事代・付添料、差額ベッド代・身の回り品・謝礼。nta.go.jp
- 国税庁 タックスアンサー No.1129「セルフメディケーション税制」— 12,000円超・上限88,000円・選択適用・適用期限(令和8年12月31日)。nta.go.jp