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最終更新: (令和8年分・国税庁質疑応答事例/タックスアンサーNo.1122に基づく)

予防接種は医療費控除の対象?——原則対象外と、B型肝炎の例外・セルフメディケーション税制との違い

結論から言うと、インフルエンザや新型コロナなど、通常の予防接種の費用は医療費控除の対象になりません。予防接種は「疾病の予防」のための費用で、医療費控除の対象である「医師による診療・治療の対価」にあたらないためです。ただし例外があり、B型肝炎の患者と同居する親族が、その患者の治療の一環として受けるB型肝炎ワクチンの接種費用は対象になります(診断書が必要)。また、「インフルエンザの予防接種で控除が受けられる」と誤解されやすいセルフメディケーション税制との違いも、この記事で整理します(金額の相場は国税庁に基準がないため示しません)。

はじめに:まず「原則」と「例外」を分けて理解する

予防接種は原則として医療費控除の対象外ですが、ごく限られた例外(B型肝炎ワクチン)があります。さらに、名前が似ていて混同されやすいセルフメディケーション税制では、予防接種が「控除の対象」ではなく「特例を受けるための入口の要件」として登場します。この3点を分けて理解するのがこの記事のねらいです(2026年7月24日取得の国税庁情報に基づきます)。

まず制度全体を知りたい方は医療費控除とは(仕組み・いくらから・いくら戻る)を、対象・対象外の全体像は医療費控除の対象・対象外一覧をご覧ください。

1. 原則——予防接種は「疾病の予防」なので対象外

医療費控除の対象になるのは、「医師又は歯科医師による診療又は治療の対価」です(国税庁 No.1122)。予防接種は、まだ発症していない病気を防ぐための行為であり、治療の対価ではありません。国税庁の質疑応答事例「予防接種の費用」は、次のように述べています(逐語・2026年7月24日取得)。

海外旅行を行う際に予防接種を受ける場合の費用のように、疾病の予防のための費用は、医療費控除の対象とはなりません。

この考え方は、渡航のための予防接種にかぎりません。インフルエンザ・新型コロナなどのワクチンも、「疾病の予防」を目的とするものである以上、同じ理由で対象外です。国税庁 No.1122でも、「ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません」とされており、予防を目的とする支出は対象外という一貫した考え方です。

✕ 対象外(原則)インフルエンザ・新型コロナ・渡航(海外旅行)のための予防接種など、疾病の予防のための費用
◯ 対象(例外)B型肝炎の患者と同居する親族が、患者の治療の一環として受けるB型肝炎ワクチンの接種費用(次章・診断書が必要)

2. 例外——B型肝炎ワクチン(患者と同居する親族・診断書が必要)

数少ない例外がB型肝炎ワクチンです。国税庁の質疑応答事例と法令解釈通達(昭和63年12月26日発出)は、次の取扱いを示しています(2026年7月24日取得)。

B型肝炎の患者の親族(その患者と同居する者に限ります。)のB型肝炎ワクチンの接種に要した費用については、医師による診療又は治療を受けるため直接必要な費用として医療費控除の対象となるものと取り扱われています。

対象になる理由は、B型肝炎にかかっている人の介護にあたる家族に感染する危険性が高く、その家族への接種が患者の治療の一環として不可欠と考えられているためです。したがって、健常者が一般的な感染予防のために受けるB型肝炎ワクチンは対象外で、あくまで「治療中の患者と同居する親族」という条件がつきます。

また、この控除を受けるには書類が必要です。国税庁は、医療費控除の明細書に加えて、「B型肝炎にかかっており医師による継続的治療を要する旨の記載のある医師の診断書」を、確定申告書に添付するか、提出の際に提示することが必要としています。

3. 混同注意——セルフメディケーション税制の「予防接種」は控除対象ではない

「インフルエンザの予防接種を受けると控除が受けられる」と聞いたことがあるかもしれません。これはセルフメディケーション税制の話で、予防接種の費用そのものが控除されるわけではありません。ここは誤解が多いので、分けて整理します。

予防接種の位置づけ健康の保持増進や疾病の予防のために「一定の取組」を行ったことを示す入口の要件(インフルエンザの予防接種、健康診査、がん検診などのいずれか)
実際に控除される費用その年に買った対象の市販薬(スイッチOTC医薬品など)の購入費のうち一定額を超える部分(接種費用ではない)

つまりセルフメディケーション税制では、インフルエンザの予防接種などは「特例を使える人かどうか」を判定するための要件にすぎず、接種費用が控除額に加わるわけではありません。控除されるのはあくまで対象の市販薬の購入費です。なお、セルフメディケーション税制と通常の医療費控除はどちらか一方の選択適用(併用不可)です。制度のくわしい内容はセルフメディケーション税制とはで解説しています。

4. HPV・帯状疱疹など個別のワクチンは?——「予防か治療の一環か」で考える

HPVワクチン、帯状疱疹ワクチン、肺炎球菌ワクチンなど、個別のワクチンについて国税庁がワクチン名ごとに対象・対象外を一覧化しているわけではありません。判断の軸は名前ではなく、「疾病の予防のための費用か、医師による治療の一環として直接必要な費用か」です。

予防を目的とする接種は原則として対象外で、B型肝炎ワクチンのように治療の一環として直接必要と認められる例外に該当するかは、個別の事情によって変わります。そのため本記事では、個別のワクチンの可否を断定しません。判断に迷う場合は、税務署や国税庁の確定申告書等作成コーナーでご確認ください。

「予防接種は◯◯円が相場」といった金額も、本記事では示していません。通常の予防接種は金額にかかわらず対象外で、国税庁も費用の相場や上限の目安を定めていないためです。実際に戻る税額を知りたい場合は、その年に対象となる医療費の合計をもとに、シミュレーターで目安を確認するのが確実です。

🧮 1年間の医療費の合計から「いくら戻るか」の目安を試算する(医療費控除シミュレーター)

5. 迷ったときの確認先・次に読みたい記事

よくある質問

Q. 予防接種(インフルエンザ・新型コロナなど)は医療費控除の対象になりますか?
インフルエンザや新型コロナ、海外旅行のための予防接種など、疾病の予防のための費用は対象になりません(質疑応答事例・No.1122)。医療費控除の対象は「医師等による診療・治療の対価」であり、まだ発症していない病気を防ぐための接種は治療の対価にあたらないためです。個別の判断は税務署にご確認ください。
Q. 予防接種でも医療費控除の対象になる例外はありますか?
B型肝炎の患者と同居する親族が、その患者の治療の一環としてB型肝炎ワクチンを接種した費用は、医師による治療を受けるため直接必要な費用として対象になります(質疑応答事例・法令解釈通達、昭和63年12月26日発出)。この場合、B型肝炎にかかっており医師による継続的治療を要する旨を記載した医師の診断書の添付または提示が必要です。健常者が一般的な感染予防のために接種する場合は対象外です。
Q. インフルエンザの予防接種はセルフメディケーション税制で控除できますか?
セルフメディケーション税制では、インフルエンザの予防接種などが「一定の取組」(健康の保持増進や疾病の予防の取組)を行った証明として使える場合があります。ただしこれは特例を受けるための入口の要件であって、予防接種の費用そのものが控除されるわけではありません。控除されるのは対象の市販薬(スイッチOTC医薬品など)の購入費です。混同しやすい点なので注意してください。
Q. HPVワクチンや帯状疱疹など、個別のワクチンは対象になりますか?
国税庁は個別のワクチン名で対象・対象外を一覧化していません。判断の軸は「疾病の予防のための費用か、医師による治療の一環として直接必要な費用か」です。予防を目的とする接種は原則として対象外で、B型肝炎ワクチンのように治療の一環として直接必要と認められる例外に該当するかは個別の事情によります。本記事では個別のワクチンの可否を断定しません。判断に迷う場合は税務署にご確認ください。
Q. 予防接種の費用がいくらまで対象になるか、金額の目安はありますか?
通常の予防接種は疾病の予防のための費用として原則対象外のため、金額にかかわらず対象になりません。国税庁は金額の相場や上限の目安を定めていません。戻る税額の目安は、その年に支払った対象の医療費の合計をもとにシミュレーターで概算できます。

参考にした一次情報(取得日2026年7月24日)

本記事は一般的な制度の解説です(2026年7月24日時点。国税庁質疑応答事例・タックスアンサーに基づく)。予防接種は原則として医療費控除の対象外で、本記事はB型肝炎ワクチンなど国税庁が示す例外の代表例を説明したもので、個別のワクチン・ケースの可否を断定するものではありません。同じ接種でも、疾病の予防が目的か・医師による治療の一環として直接必要かなど個別の事情によって扱いが変わります。個別の可否の最終判断は、税務署や国税庁の確定申告書等作成コーナーでご確認ください。医療費控除でいくら戻るかの目安はシミュレーターで確認できます(金額はすべて概算・目安です)。個別のご相談には対応していません。
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