給料の「引かれるお金」がぜんぶわかる

最終更新: (2026年度・令和8年度の制度に対応)

標準報酬月額とは——保険料の決まり方・等級表の見方をやさしく解説

結論: 標準報酬月額とは、健康保険料・厚生年金保険料を計算するための「給与の区分(等級)」です。毎月の給与そのものではなく、基本給に残業代や通勤手当なども加えた報酬を、あらかじめ決まった等級表に当てはめた金額を使います。健康保険は第1〜50等級(5万8千円〜139万円)、厚生年金は第1〜32等級(8万8千円〜65万円)。この金額に保険料率を掛けて、あなたの保険料が決まります。この記事で、決まり方・使われ方・等級表の見方までまとめて整理します。

30秒でわかる「標準報酬月額」

正体保険料を計算するための給与の区分(等級)。毎月の給与そのものではない
何が含まれる?基本給+残業手当+通勤手当+住宅手当+家族手当など(労働の対償として支給されるもの)
等級の幅健康保険=第1〜50等級(5.8万〜139万円) / 厚生年金=第1〜32等級(8.8万〜65万円)
何に使う?健康保険料・厚生年金保険料・(40歳〜)介護保険料の計算。傷病手当金など給付の基準にも
いつ決まる?入社時・毎年1回(定時決定)・大きな昇給時(随時改定)
賞与は?別に「標準賞与額」として計算(1,000円未満を切り捨て)

自分の月給だと保険料がいくらになるかは手取り計算ツール【2026年対応】で確認できます(等級への区分も自動計算)。

1. 標準報酬月額とは——給与を「等級」に丸めたもの

健康保険料も厚生年金保険料も、実は「毎月の給与そのもの」ではなく、標準報酬月額という区分をもとに計算されています。会社が毎月支払う報酬を、あらかじめ決まった等級表に当てはめてキリのよい金額に丸めたものが標準報酬月額です。この金額に保険料率を掛け、会社と本人が半分ずつ負担します(厚生年金保険料率は18.3%で固定)。

たとえば報酬が29万3,000円の人も30万5,000円の人も、同じ「30万円」の等級に入れば標準報酬月額は同じ30万円で、保険料も同額になります。逆に、等級の境目を1円でも越えると1つ上の等級になり、保険料が数百〜数千円変わることがあります。「給料が少し上がっただけで手取りが減った」と感じるのは、この等級の境目をまたいだときに起こる現象です。

2. 報酬に含まれるもの・含まれないもの

標準報酬月額の元になる「報酬」には、労働の対償として事業主から支給されるものが幅広く含まれます。具体的には、基本給に加えて残業手当・通勤手当・住宅手当・家族手当・役職手当などです。

含まれる基本給、残業(時間外)手当、通勤手当、住宅手当、家族手当、役職手当、勤務地手当 など
含まれない結婚祝金・見舞金などの恩恵的なもの、出張旅費・交際費などの実費弁償、年3回以下の賞与(別に標準賞与額で計算) など

注意したいのが通勤手当です。所得税では一定額まで非課税ですが、社会保険の報酬には全額が算入されます。同じ通勤手当でも「税金では非課税・社会保険では対象」と扱いが分かれる点は覚えておくと役立ちます。

3. 何に使われる?——保険料と給付、両方のベース

標準報酬月額は、まず毎月の社会保険料の計算に使われます。標準報酬月額に保険料率を掛けて、健康保険料・厚生年金保険料・(40歳以上は)介護保険料が決まります。

つまり、標準報酬月額が高いほど当面の保険料は増えますが、その分将来の年金や給付も手厚くなるという関係です。保険料を「取られるだけのお金」と考えるのは正確ではありません。介護保険料が加わる仕組みは40歳から増える介護保険料で解説しています。

4. 等級表の見方——健康保険は50等級、厚生年金は32等級

標準報酬月額の等級表は、健康保険と厚生年金で範囲が違います。健康保険のほうが上限が高く、等級の数も多いのが特徴です。

健康保険厚生年金
等級の数第1〜50等級第1〜32等級
下限(いちばん下)5万8,000円8万8,000円
上限(いちばん上)139万円65万円

表の見方はシンプルで、自分の報酬額が入る「報酬月額」の範囲の行を探し、その行の標準報酬月額と保険料を読むだけです。厚生年金は上限が65万円のため、報酬がそれを大きく超えても厚生年金保険料は頭打ちになります(健康保険は139万円まで区分があります)。

最新の等級・保険料額は、日本年金機構と協会けんぽが毎年公表する「保険料額表」が正本です。月給ごとの等級と保険料の実額は標準報酬月額シミュレーターで確認できます。たとえば東京都・月給30万円なら健康保険は第22等級(標準報酬月額30万円)で、本人負担は健康保険料14,775円・厚生年金保険料27,450円(いずれも月額・労使折半後)などと表示されます。全等級を一覧で見たいときは等級早見表もどうぞ。

5. いつ決まる・変わる?——3つのタイミング

標準報酬月額が決まる・変わるタイミングは、大きく次の3つです。

入社時資格取得時決定。入社時の報酬をもとに決め、当面はこの等級が使われます
毎年1回定時決定。毎年4〜6月の給与の平均で決め直し、9月分の保険料から1年間適用
大きな昇給時随時改定。固定給が変わり3か月平均で2等級以上動くと、4か月目から改定

「4〜6月に残業すると保険料が上がって損」という話の正体や、昇給後に保険料が変わる時期のくわしい仕組みは標準報酬月額はいつ決まる・変わる?で整理しています。定時決定にしぼった解説は標準報酬月額の決め方(定時改定)もどうぞ。

6. 賞与は「標準賞与額」で別に計算

ボーナス(年3回以下の賞与)は、標準報酬月額とは別に標準賞与額という区分で保険料を計算します。支給額から1,000円未満を切り捨てた額に、月給と同じ保険料率を掛けます。

標準賞与額には上限があり、厚生年金は1回あたり150万円健康保険は年度(4月〜翌3月)の累計573万円が上限です。これを超える部分には保険料がかかりません。賞与から社会保険料がどれくらい引かれるかは賞与(ボーナス)の社会保険料で、金額は賞与の手取り計算ツールで確認できます。

7. 次に確認したいこと・相談先

よくある質問

Q. 標準報酬月額とは何ですか?
健康保険料・厚生年金保険料を計算するために、毎月の給与を等級(区分)に当てはめた金額です。給与そのものではなく、基本給に残業手当・通勤手当・住宅手当などを加えた「報酬」を等級表に当てはめて区切ります。健康保険は第1等級(5万8千円)から第50等級(139万円)、厚生年金は第1等級(8万8千円)から第32等級(65万円)に分かれ、この金額に保険料率を掛けて保険料が決まります。
Q. 標準報酬月額に通勤手当は含まれますか?
含まれます。報酬には基本給のほか、残業手当・通勤手当・住宅手当・家族手当・役職手当など、労働の対償として事業主から支給されるものが幅広く含まれます。所得税では一定額まで非課税になる通勤手当も、社会保険の報酬には全額が算入されます。一方、結婚祝金や出張旅費など労働の対償にあたらないものは含まれません。
Q. 標準報酬月額は何に使われるのですか?
主に社会保険料の計算に使われます。標準報酬月額に保険料率を掛けて、健康保険料・厚生年金保険料・(40歳以上は)介護保険料が決まり、会社と本人が折半します(厚生年金保険料率は18.3%で固定)。さらに傷病手当金や出産手当金など、給与ベースで計算される給付の基準にもなります。標準報酬月額が高いほど当面の保険料は増えますが、将来の年金や給付も手厚くなります。
Q. 標準報酬月額はどこで確認できますか?
会社が受け取る「標準報酬決定通知書」で確認できるほか、毎年届く「ねんきん定期便」やねんきんネットでも厚生年金の記録を見られます。給与明細の保険料額から等級を推定することもできます。おおよその金額は、月給を入力すると等級への区分も含めて計算できる手取りナビの計算ツールでも確認できます。

参考にした情報(一次情報・取得日2026年7月23日)

※等級・保険料率は年度ごとに改定されます。最新の等級・保険料額は日本年金機構・協会けんぽが公表する「保険料額表」でご確認ください。

本記事は一般的な制度の解説です(2026年7月時点。日本年金機構・全国健康保険協会の公表資料に基づく概算・目安)。個別の標準報酬月額・保険料の金額は、勤務先の報酬体系や加入先によって異なります。正確な金額や個別のご相談は、加入先の年金事務所・協会けんぽ都道府県支部、または勤務先の担当部署へお問い合わせください。当サイトは相談の受付や手続きの代行は行っていません。
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