給料の「引かれるお金」がぜんぶわかる

最終更新: (2026年度・令和8年度の制度に対応)

標準報酬月額はいつ決まる・変わる?——定時決定・随時改定と「4〜6月の残業で損」の真相

結論: 標準報酬月額が決まる・変わるタイミングは大きく3つです——①入社したとき(資格取得時決定)、②毎年1回の見直し(定時決定。4〜6月の給与平均で決まり9月分から反映)、③大きな昇給・降給があったとき(随時改定。3か月平均で2等級以上動くと4か月目から)。よく聞く「4〜6月に残業すると保険料が上がって損」は半分だけ正しく、正確には「4〜6月に支払われた給与が定時決定に使われる」仕組みです。この記事で、3つのタイミングと俗説の中身を公的資料に沿って整理します。

30秒でわかる「決まる・変わる」3タイミング

① 資格取得時決定入社したとき。入社時の報酬をもとに決め、当面この等級を使う
② 定時決定毎年1回。7月1日時点の人が対象。4〜6月の給与平均で決め直し、9月分から翌年8月分まで適用
③ 随時改定大きな昇給・降給時。固定給が変わり3か月平均で2等級以上差が出ると4か月目から改定
「4〜6月残業で損」?半分だけ正解。等級は上がりうるが、将来の年金・給付も増えるトレードオフ

そもそも標準報酬月額とは何かは標準報酬月額とは(基本といちばん大事なこと)から。月給ごとの等級と健保・厚年・介護の保険料は標準報酬月額シミュレーターで、手取り全体は手取り計算ツールで確認できます。

① 資格取得時決定——入社したとき

入社して社会保険に加入すると、まず入社時の報酬をもとに標準報酬月額が決まります。これを資格取得時決定といいます。月給制なら、資格を取得した日現在の報酬をもとに1か月分の報酬額を算定し、等級に当てはめます。

このとき決まった標準報酬月額は、次の定時決定までしばらく使われます。具体的には、1月〜5月に入社した人はその年の8月まで6月〜12月に入社した人は翌年の8月まで適用され、その後は定時決定で決め直されます。入社直後にたくさん残業しても、資格取得時決定は入社時点の固定的な報酬をもとに決めるため、原則として途中では変わりません(大きな昇給があれば③の随時改定で変わることがあります)。

② 定時決定——毎年4〜6月の平均で決め直し、9月分から

標準報酬月額は毎年1回、全員まとめて見直されます。これが定時決定(算定基礎届)です。対象は7月1日時点の被保険者で、4月・5月・6月に支払われた給与(基本給+残業代+通勤手当など。原則いずれも支払基礎日数17日以上の月)の平均で報酬月額を計算し、等級を決め直します。

会社は7月1日から10日までに算定基礎届を提出し、新しい標準報酬月額はその年の9月分の保険料から翌年8月分まで1年間適用されます。多くの会社では9月分の保険料が10月支給の給与から天引きされるため、実際に天引き額が変わるのは10月の給与からというケースが一般的です。

「4〜6月の給与で1年分の保険料が決まる」という話は、この定時決定を指しています。等級が1つ上がると保険料が月いくら変わるかを実額で見たいときは社会保険料は4〜6月で決まる?(実額で検証)を、定時決定にしぼった図解は標準報酬月額の決め方(定時改定)をどうぞ。

③ 随時改定——大きな昇給の3〜4か月後に変わる

定時決定を待たずに標準報酬月額が変わることもあります。それが随時改定(月額変更届)です。次の3つの条件をすべて満たすと対象になります。

条件1昇給・降給などで固定的賃金に変動があった
条件2変動月から3か月の平均で計算した標準報酬月額が、それまでと2等級以上差が出た
条件3その3か月とも支払基礎日数が17日以上ある

改定は、変動後の給与を初めて受けた月から数えて4か月目から反映されます。たとえば4月の給与から変動があった場合は、7月の標準報酬月額から改定されます。「4月に昇給したのに7月から保険料が上がった」と感じるのは、この仕組みによるものです。

ポイントは、変わるのは固定的賃金(基本給・役職手当・通勤手当など毎月決まって支払われるもの)が変動したときである点です。一時的な残業代の増減だけでは、原則として随時改定は行われません。

「4〜6月に残業すると損」の真相——半分だけ正解

ネットでよく見かける「4〜6月に残業すると1年間保険料が高くなって損」。これは半分だけ正しく、半分は不正確です。事実と誤解を分けて整理します。

等級が1つ上がると本人負担が月いくら増えるのか、実額での検証は社会保険料は4〜6月で決まる?にまとめています。数字は検証済みの計算エンジンで算出しており、当記事では制度の仕組みの説明にとどめています。

育休から戻ったとき・産休後の特例もある

上の3つ以外にも、育児休業や産前産後休業から復帰して時短勤務などで給与が下がった場合に、通常より早く標準報酬月額を下げられる仕組み(育児休業等終了時改定・産前産後休業終了時改定)があります。また、時短で標準報酬月額が下がっても将来の年金額は下げないための特例(養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置)も用意されています。

育休・時短にかかわる標準報酬月額の扱いは育休中の社会保険料免除・養育期間の特例で解説しています。

自分の標準報酬月額を調べるには・相談先

よくある質問

Q. 標準報酬月額はいつ決まりますか?
決まる・変わるタイミングは主に3つです。①入社したとき(資格取得時決定):入社時の報酬から決めます。②毎年1回の見直し(定時決定):7月1日時点の被保険者について、4月・5月・6月に支払われた給与の平均で決め直し、その年の9月分から翌年8月分まで適用されます。③大きな昇給・降給があったとき(随時改定):固定的賃金が変わり、その後3か月の平均で標準報酬月額が2等級以上動くと4か月目から改定されます。
Q. 定時決定で決まった標準報酬月額はいつから反映されますか?
4月・5月・6月に支払われた給与(残業代・通勤手当を含む。原則いずれも支払基礎日数17日以上の月)の平均で決め直され、その年の9月分の保険料から翌年8月分まで1年間適用されます。会社は7月1日から10日までに算定基礎届を提出します。多くの会社では9月分の保険料が10月支給の給与から天引きされるため、天引き額が変わるのは10月の給与から、というケースが一般的です。
Q. 昇給したら標準報酬月額はいつ変わりますか?
昇給などで固定的賃金が変わり、変動月から3か月間の平均で計算した標準報酬月額がそれまでと2等級以上の差になり、かつ3か月とも支払基礎日数が17日以上であれば、随時改定の対象になります。改定は、変動後の給与を初めて受けた月から数えて4か月目から反映されます。たとえば4月の給与から変動があった場合は7月から改定されます。2等級未満の変動や一時的な残業代の増減では、原則として随時改定は行われません。
Q. 4月から6月に残業すると保険料が上がって損というのは本当ですか?
半分だけ正しい、というのが正確なところです。定時決定は4〜6月に支払われた給与の平均で決めるため、この時期の残業代が多いと等級が上がり、9月分からの保険料が上がることはあります。ただし「純粋な損」とは言えません。厚生年金保険料が上がると将来の年金額が増え、傷病手当金や出産手当金など標準報酬をもとに計算される給付も増えるためです。目先の保険料と将来の給付のトレードオフとして考えるのが正確です。

参考にした情報(一次情報・取得日2026年7月23日)

※支払基礎日数の要件は、特定適用事業所に勤務する短時間労働者では17日が11日に読み替えられるなど、勤務状況により異なる場合があります。最新の取扱いは日本年金機構でご確認ください。

本記事は一般的な制度の解説です(2026年7月時点。日本年金機構の公表資料に基づく概算・目安)。定時決定・随時改定の対象になるかや標準報酬月額の金額は、勤務状況・報酬体系・加入先によって異なります。正確な取扱いや個別のご相談は、加入先の年金事務所・協会けんぽ都道府県支部、または勤務先の担当部署へお問い合わせください。当サイトは相談の受付や手続きの代行は行っていません。
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