給料の「引かれるお金」がぜんぶわかる

最終更新: (2026年度・令和8年度の制度に対応)

傷病手当金とは?——支給の4条件・いくら・いつまでを1ページで

結論: 傷病手当金とは、病気やケガで働けず給与がもらえないときに、健康保険から生活を支えるために支給される手当です。金額はおおよそ額面の3分の2、期間は支給開始から通算して1年6ヶ月。非課税ですが、休職中も社会保険料や住民税は続くため、実際の手取りは目安6割強になります。この記事で全体像をまとめて確認できます。

30秒でわかる傷病手当金

だれが健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)に入っている会社員など。国民健康保険の自営業・フリーランスには原則ありません
どんなとき業務外の病気・ケガで働けず、給与が受けられないとき
いくら1日あたり = 平均標準報酬月額 ÷ 30 × 2/3(ざっくり額面の約2/3)
いつから連続3日の待期のあと、4日目以降の働けなかった日から
いつまで支給開始日から通算1年6ヶ月(2022年改正で通算方式に)
税金非課税(ただし社会保険料・住民税は休職中も続く)

自分の月給での金額は傷病手当金 計算ツールで1分で確認できます。

1. 傷病手当金とは:病気で働けないときの「生活の下支え」

傷病手当金は、健康保険の給付のひとつです。業務外の病気やケガで会社を休み、その間の給与が受けられないとき、本人とその家族の生活を守るために支給されます。医療費の窓口3割負担や高額療養費と同じく、毎月払っている健康保険料が「働けなくなったとき」に返ってくる仕組みのひとつだと考えると分かりやすいです。

注意したいのは、対象が健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)の被保険者である点です。市区町村の国民健康保険に加入している自営業・フリーランスの方には、原則としてこの制度はありません(もらえないケースの解説で詳しく触れています)。

2. 支給される4つの条件

傷病手当金を受けるには、原則として次の4つをすべて満たす必要があります。

①業務外の病気・ケガ仕事中・通勤中のケガは労災保険の対象で、傷病手当金の対象外です。美容整形など病気とみなされないものも対象外
②働けない状態仕事に就けない状態であること。医師の意見などをもとに、本人の仕事の内容を考慮して判断されます
③連続3日の待期+4日目〜連続する3日間(待期)を含めて4日以上休んだうえで、4日目以降の休んだ日が対象。待期には有給休暇や土日・祝日も含まれます
④給与の支払いがない休んだ期間に給与が支払われていないこと。支払いがあっても手当金より少なければ、その差額が支給されます

実際の支給可否は、加入する健康保険が個別に判断します。ここでの説明は一般的な原則です。

3. いくらもらえる?——金額の計算式と実例

1日あたりの金額は、次の式で決まります(健康保険法99条2項)。

日額 = 支給開始日以前の継続した12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日(10円未満四捨五入)× 2/3(1円未満四捨五入)

「標準報酬月額」は毎年の給与をもとに決まる等級です(標準報酬月額の仕組み)。むずかしく見えますが、ざっくり「額面の約3分の2」と覚えておけば十分です。月給別のおおよその金額は次のとおりです。

月給(額面)日額1ヶ月(30日)分実質の手取り比*
20万円4,447 円133,410 円約 61%
25万円5,780 円173,400 円約 64%
30万円6,667 円200,010 円約 61%
40万円9,113 円273,390 円約 63%

当サイトの計算エンジンによる試算(東京都・40歳未満・独身・賞与なし、平均標準報酬月額を各等級で算定)。*「実質の手取り比」は後述の独自視点です。金額は概算で、加入先や状況により異なります。月給別の早見表はこちら

4. いつからいつまで?——待期と「通算1年6ヶ月」

始まり: 連続する3日間の待期(有給休暇・土日・祝日も含む)が成立した後、4日目以降の働けなかった日から支給されます。待期は「連続」している必要があるため、途中で1日でも出勤するとカウントし直しになります。

終わり: 同じ病気・ケガについて、支給を開始した日から通算して1年6ヶ月が上限です。2022年1月の改正で、いったん復職して働いた期間は日数に数えず、実際に受け取った日を通算する方式になりました。そのため、途中で仕事に戻る期間があっても、通算1年6ヶ月分まで受け取れる可能性があります。

実際の支給日については傷病手当金はいつ振り込まれる?もあわせてどうぞ。

5. 入社1年未満のときの特例(32万円ルール)

在職中であれば入社1年未満でも支給対象になり得ますが、加入期間が12ヶ月に満たない場合は、計算に使う平均額が次のいずれか低い方になります(健康保険法99条2項)。

つまり月給が高い方でも、入社1年未満だと日額が32万円ベース(協会けんぽの場合)を上限に計算されることがあります。健康保険組合ではこの平均額が組合ごとに異なります。

6. 非課税でも手取りは「6割強」——手取りナビの視点

傷病手当金は非課税です(健康保険法62条)。ここだけ見ると「額面の2/3がまるまる残る」ように思えます。ですが、在職中の休職では見落としがちな負担が続きます。

これらを差し引くと、額面比では約2/3(66〜69%)でも、働いていた月の手取りと比べた実質は目安6割強(当サイト試算で月給20〜40万円のとき約61〜64%)にとどまります。「2/3もらえる」と思っていた金額より手取りが少なく感じるのは、この続く負担が理由です。ここまで踏まえて備えておくと安心です。

この「実質の手取り比」まで表示するのが傷病手当金 計算ツールの特長です。住民税が続く理由は住民税計算ツールでも確認できます。

7. 次に確認したいこと(申請・退職後・もらえないケース)

よくある質問

Q. 傷病手当金とは何ですか?
健康保険に入っている会社員などが、業務外の病気やケガで働けず給与が受けられないときに、生活を支えるため健康保険から支給される手当です。連続3日の待期のあと、4日目以降の休んだ日が対象です(健康保険法99条)。国民健康保険の自営業・フリーランスには原則ありません。
Q. 傷病手当金の支給条件は?
①業務外の病気・ケガ、②働けない状態(医師の意見などで判断)、③連続3日の待期を含め4日以上休む、④休んだ期間に給与の支払いがない(または手当金より少ない)、の4つが主な条件です。支給可否は加入先の健康保険が判断します。
Q. 傷病手当金はいくらもらえますか?
1日あたり「平均標準報酬月額 ÷ 30日(10円未満四捨五入)× 2/3(1円未満四捨五入)」で、ざっくり額面の約3分の2が目安です。月給30万円なら日額6,667円、30日分で200,010円(当サイト試算)。
Q. いつからいつまでもらえますか?
連続3日の待期(有給・土日祝も含む)の後、4日目以降の働けなかった日から支給されます。期間は支給開始日から通算1年6ヶ月で、2022年1月改正により復職した期間は数えない通算方式です。
Q. 税金はかかりますか?手取りとの差は?
傷病手当金は非課税です(健康保険法62条)。ただし休職中も社会保険料・住民税の負担が続くため、働いていた月の手取りと比べた実質は目安6割強になります(当サイト試算)。

参考にした情報(一次情報・取得日2026年7月21日)

本記事は一般的な制度の解説です(2026年7月時点。協会けんぽ・厚生労働省の公表資料および健康保険法に基づく概算・目安)。実際の支給可否や金額は、加入する健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)や個別の状況により異なります。正確な内容は加入先や勤務先にご確認ください。個別のご相談には対応していません。
傷病手当金 計算ツールで自分の金額を見る