給料の「引かれるお金」がぜんぶわかる

最終更新: (労働基準法39条・115条に対応)

有給休暇とは——もらえる条件・日数・使い方をやさしく解説

結論: 「有給休暇(正式には年次有給休暇)」とは、休んでも賃金が支払われる休暇のことで、労働基準法39条で定められた労働者の権利です。もらえる条件は「雇入れから6か月の継続勤務」「全労働日の8割以上の出勤」の2つ。この条件を満たせば、正社員だけでなくパート・アルバイトも対象になります。まず10日が与えられ、勤続年数に応じて最大20日まで増えていきます。この記事で、条件・日数・使い方・期限をまとめて整理します。

30秒でわかる「有給休暇」

正体休んでも賃金が支払われる休暇。労働基準法39条が定める権利(「有給」「有休」は同じもの)
もらえる条件6か月の継続勤務 かつ 全労働日の8割以上出勤
誰が対象?正社員・パート・アルバイト・契約社員。雇用形態は問わない(短時間勤務は比例付与)
何日もらえる?フルタイムで勤続6か月=10日、以降増えて6年6か月以上で20日(上限)
期限は?請求できる時効は2年。使わなかった分は翌年へ繰り越せるが、2年で消滅
迷ったら就業規則・給与明細を手元に労働基準監督署の総合労働相談コーナーなどへ

自分の勤続年数・勤務日数から付与日数を知りたいときは有給休暇の付与日数計算ツールで、一覧で見たいときは有給付与日数の早見表で確認できます。

1. 有給休暇とは——「有給」も「有休」も同じ年次有給休暇

有給休暇の正式名称は「年次有給休暇」です。日常では「有給」「有休」と略されますが、どちらも同じものを指します。中身は、会社を休んでも、その日の賃金が支払われる休暇のこと。労働基準法39条で「使用者は……有給休暇を与えなければならない」と定められた、働く人の権利です。

病気や私用、リフレッシュなど、使い道は問われません。会社が「何のために休むのか」を確認することはできますが、取得の理由を伝える義務はなく、理由によって取得を拒否することもできません(会社にできるのは、事業の正常な運営に支障が出る場合に別の日にずらしてもらう「時季変更権」だけです)。

2. もらえる条件——「6か月の継続勤務」と「8割以上の出勤」

有給休暇が発生する条件は、次の2つです(労働基準法39条1項)。

① 継続勤務雇入れの日から6か月間、継続して勤務していること
② 出勤率その6か月間の全労働日の8割以上出勤していること

この2つを満たすと、まず10日の有給休暇が与えられます。以降は1年ごとに、同じく「8割以上出勤」を満たすたびに日数が加算されていきます。なお、業務上のケガや病気で療養のため休んだ期間、産前産後の休業、育児・介護休業の期間は「出勤したもの」として扱われるため、8割の計算で不利になりません(労働基準法39条10項)。

この条件は雇用形態を問いません。パート・アルバイトでも、6か月継続勤務と8割出勤を満たせば有給休暇はもらえます。くわしくはパート・アルバイトの有給休暇(比例付与)で解説しています。

3. 何日もらえる?——勤続年数で決まる付与日数(フルタイム)

週5日勤務、または週の所定労働時間が30時間以上のフルタイムの人は、勤続年数に応じて次の日数が与えられます。勤続6か月で10日から始まり、勤続6年6か月以上で上限の20日になります(労働基準法39条1項・2項)。

勤続年数付与日数
6か月10 日
1年6か月11 日
2年6か月12 日
3年6か月14 日
4年6か月16 日
5年6か月18 日
6年6か月以上20 日

上表はフルタイム(週5日以上、または週30時間以上)の法定日数です。週4日以下などの短時間勤務では、勤務日数に応じた「比例付与」になります。会社によっては法定を上回る日数を定めている場合もあります(その場合は就業規則が優先)。自分の日数は付与日数計算ツールでも確認できます。

4. 短時間勤務の人は「比例付与」——ただし週5日なら通常どおり

週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の勤務日数が4日以下(または年間の所定労働日数が216日以下)の人は、勤務日数に応じて有給休暇の日数が調整されます。これを比例付与といいます。たとえば週3日勤務なら、勤続6か月で5日、勤続2年6か月で6日、というように、フルタイムより少ない日数になります。

よくある誤解が「短時間パートだから比例付与で少なくなる」というものですが、ポイントは労働時間ではなく勤務日数です。週5日勤務なら、1日の勤務時間が短くても(たとえば1日4時間・週20時間でも)、フルタイムと同じ通常の付与=勤続6か月で10日になります。比例付与はあくまで「勤務日数が週4日以下の人」向けの仕組みです。

週ごとの勤務日数別の日数一覧はパート・アルバイトの有給休暇(比例付与)にまとめています。

5. 休んだ日の賃金と「年5日の取得義務」

有給休暇を取った日にいくら支払われるかは、就業規則の定め方によって3つの方法のいずれかになります——①その日出勤したのと同じ通常の賃金、②直近3か月の賃金から計算する平均賃金、③健康保険の標準報酬日額(労使協定が必要)です。多くの会社では①の通常の賃金で、月給者なら「その日休んでも欠勤控除しない」形で支払われます。どの方法かは会社の就業規則で確認できます。

また、2019年4月からは、年10日以上の有給が与えられる人について、会社は年5日を必ず取得させる義務を負っています(労働基準法39条7項)。基準日から1年以内に、労働者本人が取得した日数が5日に満たない場合、会社が時季を指定して取得させます。違反には30万円以下の罰金の定めがあります。「有給が取りにくい」と感じる場合でも、年5日は取得できる制度になっています。

6. 有給の期限は2年——使わないと繰り越せるが消えることも

有給休暇を請求する権利の時効は2年です(労働基準法115条)。そのため、その年に使い切れなかった有給は翌年に繰り越せますが、付与された日から2年が過ぎると時効で消滅します。たとえば当年に付与された分は、当年と翌年の2年間で使わないと消えてしまう、という考え方です。

なお、賃金の請求権の時効は「当分の間3年」に延長されていますが、有給休暇の時効は2年のままで、この3年は有給には及びません。混同しやすいので注意してください。退職時に残っている有給の扱いなど、消化についても押さえておくと安心です。

なお、病気やケガで有給を使い切ったあとに会社を休む場合は、健康保険の傷病手当金が受けられることがあります。傷病手当金は有給とは別の制度で、有給を消化したあとの生活を支える役割があります。

7. 次に確認したいこと・相談先

よくある質問

Q. 有給休暇(年次有給休暇)とは何ですか?
一定期間働いた労働者に対して、労働基準法39条によって与えられる、休んでも賃金が支払われる休暇です。雇入れの日から6か月継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した人に、まず10日が与えられます。正社員だけでなく、条件を満たせばパート・アルバイトも対象です。「有給」「有休」はどちらも同じものを指します。
Q. 有給休暇は誰でももらえますか?パートやアルバイトでも対象ですか?
6か月の継続勤務と全労働日の8割以上出勤を満たせば、雇用形態にかかわらず発生します。パート・アルバイト・契約社員も対象です。勤務日数が少ない短時間労働者は日数が調整される「比例付与」になりますが、労働時間の長短だけで対象外になることはなく、週20時間未満でも条件を満たせばもらえます。
Q. 有給休暇は何日もらえますか?
フルタイム(週5日または週30時間以上)なら、勤続6か月で10日、以降増えて勤続6年6か月以上で上限の20日です(1年6か月=11日、2年6か月=12日、3年6か月=14日、4年6か月=16日、5年6か月=18日)。週4日以下の短時間勤務は勤務日数に応じた比例付与になります。いずれも8割以上の出勤が前提です。
Q. 有給休暇に期限(時効)はありますか?
請求する権利の時効は2年です(労働基準法115条)。使い切れなかった分は翌年に繰り越せますが、付与から2年で時効消滅します。賃金の請求権の時効は「当分の間3年」ですが、これは有給には及びません。有給の時効は2年です。
Q. 有給休暇を取るのに理由は必要ですか?会社は断れますか?
取得の理由を会社に伝える義務はありません。会社は、その日に休まれると事業の正常な運営に支障が出る場合に別の時季へ変更してもらう「時季変更権」を持つだけで、取得そのものを拒否することはできません。取り扱いに疑問があれば、就業規則を用意して公的窓口へ相談できます。

参考にした情報(一次情報・取得日2026年7月22日)

※有給休暇の付与日数・取得のルールは会社の就業規則によって法定を上回る定めがある場合があります。制度は変わる可能性があるため、最新の内容は厚生労働省・お近くの労働基準監督署でご確認ください。

本記事は一般的な制度の解説です(2026年7月時点。労働基準法および厚生労働省の公表資料に基づく概算・目安)。個別の有給休暇の付与日数・取得の可否・賃金の計算方法は、勤務状況や就業規則により異なります。個別のご相談は、お近くの労働基準監督署内の総合労働相談コーナーや厚生労働省「労働条件相談ほっとライン」などの公的窓口をご利用ください。当サイトは相談の受付や請求の代行は行っていません。
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