給料の「引かれるお金」がぜんぶわかる

最終更新: (2026年度・令和8年度の制度に対応)

傷病手当金が「もらえない」ケースと、実は対象になるケース

「自分はもらえないのでは」と不安になりますよね。結論から言うと、傷病手当金がもらえない典型は待期・給与・加入している保険・他の給付との調整で説明できます。一方で、適応障害やうつ病などの精神疾患は、病名を理由に対象外になることはありません。「もらえないと思い込んでいたが、実は対象だった」ケースも少なくありません。この記事で、自分がどこに当てはまるかを落ち着いて確認できます。

もらえない典型ケース(早見)

①待期が未成立連続3日の休みができていない
②給与が出ている有給などで手当金以上の給与がある期間
③国保の自営業・フリーランス市区町村の国民健康保険には原則制度がない
④仕事中・通勤中のケガ労災保険の対象(傷病手当金ではない)
⑤任意継続被保険者の期間その期間中に発症した傷病は原則対象外
⑥他の給付との調整障害厚生年金・出産手当金・老齢退職年金など
⑦働けると判断される労務不能と認められない場合

以下で1つずつ、根拠とあわせて見ていきます。最終的な支給可否は加入する健康保険が判断します。

① 連続3日の「待期」が成立していない

傷病手当金は、連続する3日間(待期)を含めて4日以上休み、その4日目以降の休んだ日から支給されます。待期は「連続」が条件で、途中で1日でも出勤するとリセットされます。「3日休んで4日目に出社し、また休んだ」というように飛び飛びの休みでは、待期が完成せず支給されないことがあります。なお待期には有給休暇や土日・祝日も含めてかまいません。

② 有給休暇などで「給与」が出ている期間

休んだ期間に給与が支払われていると、その期間は傷病手当金が支給されません。ただし全額もらえないわけではありません。給与の額が傷病手当金より少ない場合は、その差額が支給されます。有給を使い切ったあとの休みは支給対象になり得るので、「有給中はゼロでも、そのあとから受け取れる」と考えると整理しやすいです。

③ 自営業・フリーランス(市区町村の国民健康保険)

傷病手当金は健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)の給付です。市区町村が運営する国民健康保険では、傷病手当金は法律上「任意給付」とされ、原則として支給の制度がありません(厚生労働省の国保制度の資料でも、傷病手当金・出産手当金は任意給付と位置づけられています)。そのため国保に加入している自営業・フリーランスの方は、通常この手当を受けられません。

ただし、医師や特定の業種でつくる国民健康保険組合では、独自に傷病手当金に相当する給付を設けている場合があります。国保の方は「自分の加入先が市区町村か、国保組合か」を一度確認してみてください。

④ 仕事中・通勤中のケガや病気(労災の対象)

業務上や通勤途中の病気・ケガは、健康保険の傷病手当金ではなく労災保険の対象です。この場合は労災保険の休業(補償)給付などで所得が補償されます。「もらえない」というより窓口が違うケースなので、心当たりがあれば勤務先や労働基準監督署に相談してください。

⑤ 任意継続被保険者である期間

退職後に健康保険を任意継続している期間中は、原則として傷病手当金・出産手当金は支給されません。ただし例外として、退職前(在職中)から続く傷病で、退職日の前日までに継続して1年以上被保険者だったなど一定の要件を満たす場合は、「資格喪失後の継続給付」として受け取れることがあります(退職後の傷病手当金で詳しく解説)。「任意継続だから一律にもらえない」わけではない点に注意してください。

⑥ 障害年金・出産手当金・老齢退職年金などとの調整

次の給付と重なると、傷病手当金が調整され、支給されない(または差額のみになる)ことがあります。

年金の決定が後から遡って行われると、すでに受け取った傷病手当金の返還を求められることがあります。年金の通知が届いたら、早めに加入先の健康保険へ相談してください。

⑦ 「働ける状態」と判断される場合

傷病手当金は「仕事に就けない状態(労務不能)」であることが前提です。労務不能かどうかは、医師の意見などをもとに、本人の仕事の内容を考慮して判断されます。通院しているだけで働けている場合や、軽作業であれば就労可能と判断される場合は、支給対象にならないことがあります。

適応障害・うつ病など精神疾患でも対象になり得ます

「精神的な病気は傷病手当金の対象外では」と心配される方が多いのですが、病名を理由に対象外になることはありません。傷病手当金は病名ではなく、業務外の病気やケガで「仕事に就けない状態」かどうかで判断される制度だからです。

適応障害・うつ病・不安障害などの精神疾患でも、医師が労務不能と認め、待期や給与などの要件を満たせば、支給対象になり得ます。判断の鍵になるのは、申請書に記入してもらう医師による「労務不能」の意見です。まずは主治医に、仕事を休む必要がある状態かどうかを相談することから始めるとよいでしょう。

※ ここでの説明は一般的な原則です。実際に支給されるかは、症状・就労状況・医師の意見などをふまえて加入先の健康保険が個別に判断します。断定はできませんので、加入先や主治医にご確認ください。

「もらえない」と思っていたのに、実は対象だった逆パターン

「もらえない」と早合点する前に、条件を1つずつ確認してみる価値があります。制度の全体像は傷病手当金とは(基本まとめ)で確認できます。

迷ったときの確認先

よくある質問

Q. 傷病手当金がもらえないのはどんなとき?
主に、待期3日が未成立/有給などで手当金以上の給与がある/国保の自営業・フリーランス/仕事中・通勤中のケガ(労災)/任意継続の期間/障害年金・出産手当金などとの調整/働けると判断される場合です。いずれも最終判断は加入先の健康保険が行います。
Q. 適応障害やうつ病では対象外ですか?
病名で対象外になることはありません。傷病手当金は「業務外の病気やケガで仕事に就けない状態か」で判断されます。精神疾患でも、医師が労務不能と認め、他の条件を満たせば支給対象になり得ます。可否は加入先が個別に判断します。
Q. 自営業・フリーランスでももらえますか?
市区町村の国民健康保険では傷病手当金は任意給付とされ、原則として制度がありません。そのため通常は受けられません。ただし業種別の国民健康保険組合では独自給付がある場合があるので、加入先にご確認ください。
Q. 有給休暇を使うともらえませんか?
給与が支払われている期間は支給されませんが、給与が手当金より少なければ差額が出ます。待期の3日は有給や公休を含めてよく、有給を使い切ったあとの休みは支給対象になり得ます。
Q. 障害年金をもらっていると対象外?
同じ傷病の障害厚生年金を受けられる場合は原則支給されませんが、傷病手当金の日額が年金の日額より多ければ差額が出ます。出産手当金・老齢退職年金も調整対象です。遡って返還を求められることもあるため、通知が届いたら加入先へ相談を。

参考にした情報(一次情報・取得日2026年7月21日)

本記事は一般的な制度の解説です(2026年7月時点。協会けんぽ・厚生労働省の公表資料および健康保険法に基づく概算・目安)。傷病手当金の支給可否や金額は、症状・就労状況・医師の意見・加入する健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・国保組合)により異なり、本記事で個別の可否を断定するものではありません。正確な判断は加入先や勤務先、主治医にご確認ください。個別のご相談には対応していません。
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