給料の「引かれるお金」がぜんぶわかる

最終更新: (2026年度・令和8年度の制度に対応)

出産手当金とは?——いくら・いつ・条件を1ページで

結論: 出産手当金とは、産休で会社を休み給与がもらえないときに、健康保険から生活を支えるために支給される手当です。金額はおおよそ額面の3分の2、期間は産前42日+産後56日=合計98日が目安。非課税なうえ産休中は社会保険料も免除されるため、働いていた月の手取りと比べた実質は目安8割と、意外に目減りしにくいのが特徴です。出産費用にあてる出産育児一時金(1児50万円)とは別の給付です。この記事で全体像をまとめて確認できます。

30秒でわかる出産手当金

だれが健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)に入っている被保険者本人。夫の扶養に入っている専業主婦や、国民健康保険の自営業には原則ありません
どんなとき出産のために会社を休み、その間の給与が受けられないとき
いくら1日あたり = 平均標準報酬月額 ÷ 30 × 2/3(ざっくり額面の約2/3)
何日分出産日以前42日(多胎98日)+出産日翌日以降56日=目安98日
税金・社保非課税、しかも産休中は社会保険料も免除(申し出により)
一時金との違い出産育児一時金(1児50万円)は出産費用の給付。手当金は休んだ間の給与補償。両方受け取れます

自分の月給での金額は出産手当金 計算ツールで1分で確認できます。

1. 出産手当金とは:産休中の「給与のかわり」

出産手当金は、健康保険の給付のひとつです。出産のために会社を休み、その間の給与が受けられないとき、本人と家族の生活を守るために支給されます。毎月払っている健康保険料が「出産で働けない間」に返ってくる仕組みだと考えると分かりやすいです。病気やケガで働けないときの傷病手当金と同じ協会けんぽの給付で、計算のしくみもほぼ同じです。

注意したいのは、対象が健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)の被保険者本人である点です。夫の扶養に入っている専業主婦(被扶養者)や、市区町村の国民健康保険に加入している自営業の方には、原則としてこの手当はありません(もらえないケースの解説で詳しく触れています)。また、出産費用にあてる出産育児一時金(1児50万円)とは別の給付で、両方を受け取れます(違いは一時金と手当金の違いへ)。

2. 支給される条件

出産手当金を受けるには、原則として次を満たす必要があります。

①健保の被保険者本人協会けんぽ・健康保険組合に本人として加入していること。扶養に入っている被扶養者は対象外です
②出産のための休業妊娠4ヶ月(85日)以降の出産で、出産のために会社を休んでいること。傷病手当金のような連続3日の待期はありません
③給与の支払いがない休んだ期間に給与が支払われていないこと。支払いがあっても手当金より少なければ、その差額が支給されます

実際の支給可否は、加入する健康保険が個別に判断します。ここでの説明は一般的な原則です。「自分は対象?」と不安なときはもらえないケースもご確認ください。

3. いくらもらえる?——金額の計算式と実例

1日あたりの金額は、次の式で決まります(傷病手当金と同じ計算式です)。

日額 = 支給開始日以前の継続した12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3

「標準報酬月額」は毎年の給与をもとに決まる等級です(標準報酬月額の仕組み)。むずかしく見えますが、ざっくり「額面の約3分の2」と覚えておけば十分です。産休は産前42日+産後56日=98日が目安なので、月給別のおおよその金額は次のとおりです。

月給(額面)日額98日分実質の手取り比*
20万円4,447 円435,806 円約 79%
25万円5,780 円566,440 円約 83%
30万円6,667 円653,366 円約 79%
40万円9,113 円893,074 円約 82%

当サイトの計算エンジンによる試算(東京都・40歳未満・独身・賞与なし、平均標準報酬月額を各等級で算定、12ヶ月同額と仮定)。*「実質の手取り比」は後述の独自視点(産休中の社会保険料免除を反映し、続く住民税を差し引いた月換算)。金額は概算で、加入先や状況により異なります。月給別の早見表はこちら

4. いつからいつまで?——産前42日+産後56日=98日

支給の対象は、出産日(出産が予定日より後になった場合は出産予定日)以前42日(多胎妊娠は98日)から、出産日の翌日以降56日までの範囲で、会社を休み給与がなかった日です。予定日どおりに出産すれば産前42日+産後56日=合計98日分が目安になります。

予定日どおり産前42日+産後56日=98日
予定日より遅れた産前42日(予定日基準)+遅れた日数+産後56日 → 98日より長くなる
予定日より早まった実際の出産日から遡った産前日数+産後56日 → 産前が短くなり98日より短くなることがある

予定日と実際の出産日のずれで日数が変わる点は、出産手当金の特徴です。振込のタイミングは出産手当金はいつもらえる?で解説しています。

5. 入社1年未満のときの特例(32万円ルール)

在職中であれば入社1年未満でも支給対象になり得ますが、加入期間が12ヶ月に満たない場合は、計算に使う平均額が次のいずれか低い方になります。

つまり月給が高い方でも、入社1年未満だと日額が32万円ベース(協会けんぽの場合)を上限に計算されることがあります。例えば月給40万円でも加入6ヶ月なら、日額は32万円ベースの7,113円(98日で約697,074円)と、本来の9,113円より低くなります(当サイト試算)。健康保険組合ではこの平均額が組合ごとに異なります。

6. 非課税+社保免除で手取りは「約8割」——手取りナビの視点

出産手当金は非課税です。さらに大きいのが、産前産後休業(産休)期間中は、申し出により健康保険料・厚生年金保険料が本人・会社とも免除されるという点です(日本年金機構の手続き)。ここが、社会保険料の免除がない傷病手当金との決定的な違いです。

産休中に続く負担は、おもに前年の所得に対して課税される住民税くらいです。額面の約2/3(非課税)から住民税だけを差し引くと、働いていた月の手取りと比べた実質は目安8割(当サイト試算で月給20〜40万円のとき約79〜83%)にとどまります。傷病手当金だと社会保険料が続くため実質6割強でしたが、産休は社保免除がある分、手取りの目減りが小さくなります。

この「実質の手取り比」まで表示するのが出産手当金 計算ツールの特長です。住民税が続く理由は住民税計算ツールでも確認できます。社会保険料免除のしくみは産休・育休の社会保険料免除もどうぞ。

7. 次に確認したいこと(いつ・申請・もらえないケース・一時金)

よくある質問

Q. 出産手当金とは何ですか?
健康保険に入っている会社員などが、出産のために会社を休み給与が受けられないときに、生活を支えるため健康保険から支給される手当です。出産日(予定日より後なら出産予定日)以前42日〜出産日翌日以降56日のうち、休んで給与がなかった日が対象です。出産費用にあてる出産育児一時金(1児50万円)とは別の給付です。
Q. 出産手当金はいくらもらえますか?
1日あたり「平均標準報酬月額 ÷ 30日 × 2/3」で、ざっくり額面の約3分の2が目安です。月給30万円なら日額6,667円、産前42日+産後56日=98日分でおよそ653,366円(当サイト試算・概算)。
Q. 何日分もらえますか?
出産日(予定日より後なら出産予定日)以前42日(多胎98日)+出産日翌日以降56日のうち、休んで給与がなかった日です。予定日どおりなら合計98日分が目安で、出産が遅れた場合は遅れた日数が産前に加算されます。
Q. 税金はかかりますか?手取りとの差は?
出産手当金は非課税で、産休中は社会保険料も免除されます。続く負担は前年所得に対する住民税くらいで、働いていた月の手取りと比べた実質は目安8割になります(当サイト試算)。社保免除がない傷病手当金より目減りしにくいです。
Q. 入社1年未満でももらえますか?
在職中で健保の被保険者なら対象になり得ます。ただし加入12ヶ月未満だと、自分の平均と全被保険者平均(協会けんぽ32万円・令和7年4月1日以降の支給開始)の低い方で計算されるため、高月給でも32万円ベースを上限に算定されることがあります。

参考にした情報(一次情報・取得日2026年7月21日)

本記事は一般的な制度の解説です(2026年7月時点。協会けんぽ・日本年金機構の公表資料に基づく概算・目安)。実際の支給可否や金額は、加入する健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)や個別の状況により異なります。正確な内容は加入先や勤務先にご確認ください。個別のご相談には対応していません。
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