給料の「引かれるお金」がぜんぶわかる

最終更新: (令和7年8月1日以降の制度に対応)

失業保険の会社都合退職は何が違う?——給付制限なし・日数優遇を正しく理解する

結論: 会社都合退職(倒産・解雇などの特定受給資格者)は、自己都合とちがって給付制限がありません。待期7日が過ぎればすぐに受給が始まります。さらに、もらえる日数(所定給付日数)が手厚く、45歳・被保険者期間20年なら自己都合150日に対し会社都合は330日です。ただし、1日あたりの金額(基本手当日額)は退職理由では変わりません。違いが出るのは「開始の早さ」と「日数」の2点です。

30秒でわかる 会社都合退職の失業保険

いつから給付制限なし。待期7日のあと、認定を経て支給開始(自己都合より約1か月早い)
日数年齢・被保険者期間に応じて90〜330日と手厚い(自己都合は90〜150日)
金額(基本手当日額)退職理由では変わらない(退職前の給料・年齢で決まる)
会社都合になる人倒産・事業所廃止・解雇・労働条件相違・賃金未払い・過度な残業・ハラスメント・退職勧奨・雇止め等の特定受給資格者
雇止め・正当な自己都合特定理由離職者として給付制限なし(日数も手厚くなる場合あり)

自分の日数・金額は失業保険シミュレーター(退職理由を選んで試算)で確認できます。自己都合と比べたい方は失業保険は自己都合だといつから?も参照してください。

1. 会社都合は「給付制限なし」——受け取り始めが早い

失業保険を受け取るときは、まず全員に共通の待期7日があります。自己都合退職では、この待期のあとにさらに給付制限期間(令和7年4月以降は原則1か月)が設けられ、その間は基本手当が支給されません。

これに対して、会社都合退職(特定受給資格者)には給付制限がありません。待期7日が過ぎれば、そのあとの失業認定を経て基本手当の支給が始まります。同じ人が同じ条件で辞めても、会社都合なら自己都合よりおおよそ1か月早く受け取り始められる、という差になります。生活の立て直しを急ぐ局面では、この「開始の早さ」が大きな意味を持ちます。

退職理由受け取り始めの目安
会社都合(特定受給資格者)待期7日のあと(給付制限なし)
自己都合(一般)待期7日+原則1か月の給付制限のあと

2. 会社都合の所定給付日数表(自己都合より手厚い)

会社都合(特定受給資格者)の所定給付日数は、離職時の年齢と被保険者期間(雇用保険の加入年数)で決まります。下の表は当サイトの計算エンジンが公式の給付日数表から生成したものです。同じ人でも自己都合(全年齢共通で90〜150日)より大きく手厚くなります。

年齢\被保険者期間1年未満1〜5年5〜10年10〜20年20年〜
30歳未満90日90日120日180日
30〜34歳90日120日180日210日240日
35〜44歳90日150日180日240日270日
45〜59歳90日180日240日270日330日
60〜64歳90日150日180日210日240日

当サイトの計算エンジンによる表(ハローワーク公式の所定給付日数表に基づく)。「30歳未満・被保険者期間20年以上」など制度上ありえない組み合わせは「—」。就職が困難な方(障害者など)は別の日数表になります。65歳以上は基本手当ではなく高年齢求職者給付金の対象です。

参考までに、自己都合(一般の離職者)の所定給付日数は全年齢共通で、被保険者期間1年以上5年未満=90日、5年以上10年未満=90日、10年以上20年未満=120日、20年以上=150日です(1年未満は原則、受給資格がありません)。

3. 同じ人でもこれだけ違う——会社都合と自己都合の総額比較

日数の差は、受け取れる総額の差に直結します。1日あたりの金額(基本手当日額)は退職理由で変わらないため、日数がそのまま総額の差になります。当サイトの計算エンジンで、同じ条件のまま退職理由だけを変えて試算しました。

同じ条件で比較自己都合会社都合
35歳・被保険者期間10年
月給30万・基本手当日額6,207円
120 日
約744,840円
240 日
約1,489,680円
45歳・被保険者期間20年
月給35万・基本手当日額6,494円
150 日
約974,100円
330 日
約2,143,020円
40歳・被保険者期間6年
月給25万・基本手当日額5,707円
90 日
約513,630円
180 日
約1,027,260円

当サイトの計算エンジンによる試算(退職前6か月の月給が一定・賞与なし。総額は満額受給した場合の目安)。会社都合はさらに給付制限がない分、受け取り始めも早くなります。退職理由の区分は最終的にハローワークが判断します。

自分の年齢・被保険者期間での日数は失業保険シミュレーター、月給×年齢別の金額は金額早見表で確認できます。

4. 「会社都合(特定受給資格者)」になる範囲

会社都合として手厚い扱いを受ける特定受給資格者には、大きく「倒産等」と「解雇等」の2グループがあります。おもな例は次のとおりです。

「倒産」等による離職倒産手続の申立て等 / 大量雇用変動(1か月に30人以上の離職予定)の届出 / 事業所の廃止 / 事業所移転で通勤が困難になった
「解雇」等による離職自己の責めによらない解雇 / 労働条件が事実と著しく相違 / 賃金の3分の1超が支払われなかった / 賃金が85%未満に低下 / 直前6か月の過度な時間外労働 / ハラスメント・不利益取扱い / 退職勧奨 / 3年以上継続雇用後などの雇止め

「会社に退職を促された」「残業が常態化して体を壊した」「給料が大きく下がった」といったケースでも、事情によっては会社都合(特定受給資格者)に当たることがあります。離職票の離職理由に納得できない場合は、事実をハローワークに伝えて相談してください。区分は最終的にハローワークが判断します。

5. 雇止め・正当な理由のある自己都合は「特定理由離職者」

形のうえでは自己都合でも、次のような場合は特定理由離職者として、会社都合に近い扱い(給付制限なし)になります。

特定理由離職者は給付制限がかからず、一部は所定給付日数が特定受給資格者(会社都合)と同様に手厚くなる場合があります。「自分は自己都合だから諦める」と決める前に、該当しそうな事情があればハローワークに相談する価値があります。

6. 会社都合でも「金額単価」は同じ——手取りナビの視点

会社都合で有利になるのは、あくまで受け取り始めの早さ(給付制限なし)もらえる日数の多さです。1日あたりの金額(基本手当日額)は退職理由では変わりません。退職前6か月の賃金と年齢で決まります。

また、基本手当は非課税です(雇用保険の求職者給付には所得税・住民税がかかりません)。ただし退職後は、それまで給与天引きだった社会保険料や住民税を自分で納める必要が出てきます。手当は非課税でも支出は続くため、受給額と支出の両方を見て生活設計をしておくと安心です。

関連: 失業保険をもらうと扶養から外れる? / 退職金の手取り計算 / 手取りとは?額面との違い

よくある質問

Q. 会社都合退職だと失業保険はいつからもらえますか?
会社都合(特定受給資格者)には給付制限がありません。全員共通の待期7日が過ぎれば、そのあとの認定を経て支給が始まります。自己都合は待期7日+原則1か月の給付制限があるため、会社都合はおおよそ1か月早く受け取り始められます。
Q. 会社都合と自己都合で日数はどれくらい違いますか?
1日あたりの金額は同じですが、日数が大きく違います。35歳・被保険者期間10年で自己都合120日 vs 会社都合240日、45歳・20年で自己都合150日 vs 会社都合330日です(当サイト試算)。会社都合は年齢・被保険者期間に応じて90〜330日と手厚くなります。
Q. 会社都合(特定受給資格者)になるのはどんな場合ですか?
倒産・事業所廃止・大量雇用変動、事業所移転による通勤困難、自己の責めによらない解雇、労働条件の著しい相違、賃金の3分の1超の未払い、賃金が85%未満に低下、過度な時間外労働、ハラスメント、退職勧奨、3年以上継続雇用後の雇止めなどが該当します。区分はハローワークが判断します。
Q. 雇止めや正当な理由のある自己都合はどう扱われますか?
更新を希望していた有期契約の雇止めや、病気・介護・配偶者の転勤などの正当な理由のある自己都合は、特定理由離職者として給付制限なしで扱われます。一部は所定給付日数も手厚くなります。該当の判断はハローワークが行います。
Q. 会社都合だと基本手当日額(金額)も高くなりますか?
いいえ。1日あたりの金額は退職前6か月の賃金と年齢で決まり、退職理由では変わりません。会社都合で有利になるのは、給付制限がなく開始が早いことと、もらえる日数が手厚いことの2点です。

次に確認したいこと

参考にした情報(一次情報・取得日2026年7月22日)

※基本手当日額の上限額等は毎年8月1日に改定されます。金額例は令和7年8月1日〜令和8年7月31日の額に基づく概算です。

本記事は一般的な制度の解説です(2026年7月時点。厚生労働省・ハローワークの公表資料に基づく概算・目安)。離職理由の区分(会社都合・特定受給資格者・特定理由離職者・自己都合など)、所定給付日数、実際の金額は個別の状況により異なり、最終的には管轄のハローワークが判断します。正確な内容はハローワークにご確認ください。個別のご相談には対応していません。
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