最終更新: (厚生労働省・毎月勤労統計調査2025年分速報に対応)
残業代の平均はいくら?——「月2万円」という統計と、自分の残業代の出し方
結論: 「残業代の平均」に一番近い公的統計は、厚生労働省の毎月勤労統計調査の「所定外給与」です。2025年(令和7年)の速報値で、労働者1人あたり月およそ2万円(約19,885円)でした。ただしこれは残業がまったくない人も含めた全体の平均なので、自分の残業代の目安にはあまりなりません。自分の額は基礎時給 × 割増率 × 残業時間で決まります。この記事で、統計の読み方と自分の残業代の出し方を整理します。
30秒でわかる「残業代の平均」
| 公的統計の平均 | 所定外給与(残業代等)= 1人あたり月約19,885円(2025年・就業形態計・規模5人以上) |
|---|---|
| 何が含まれる? | 時間外手当(残業手当)・休日出勤手当・深夜手当など所定の時間を超える労働への給与 |
| なぜ目安にならない? | 残業ゼロの人やパートも分母に入る全体平均。実際に残業する人はこれより高い |
| 自分の額の出し方 | 基礎時給 × 割増率 × 残業時間で計算(月給と実際の残業時間から) |
| すぐ知りたいなら | 残業代計算ツールで自分の金額を概算 |
「平均」はあくまで社会全体の傾向を見るための数字です。自分がいくらもらえるはずかを知りたいときは、下の自分の残業代の出し方を参考にしてください。
1. 「残業代の平均」に一番近い統計は「所定外給与」
残業代そのものを集計した公的統計はありませんが、もっとも近いのが厚生労働省の毎月勤労統計調査にある「所定外給与」です。所定外給与とは、所定の労働時間を超える労働に対して支払われる給与のことで、時間外手当(残業手当)・休日出勤手当・深夜手当などが含まれます(厚生労働省の用語説明による)。
2025年(令和7年)の速報値では、事業所規模5人以上・すべての就業形態を合わせた平均で、労働者1人あたりの所定外給与は月およそ19,885円でした。ざっくり「月2万円前後」が、統計上の残業代の平均像です。
この数字は「きまって支給する給与(月287,436円)」から「所定内給与(月267,551円)」を除いた部分にあたります。速報値は後日の確報で改訂される場合があります。
2. なぜ「平均」は自分の目安にならないのか
「月2万円」と聞くと少なく感じるかもしれません。これは、残業をまったくしていない人や、短時間のパートタイム労働者も分母に含めた全体の平均だからです。残業が多い月に数万円という人もいれば、残業ゼロで所定外給与が0円という人もいて、その全部をならした値が約2万円です。
実際、フルタイムの一般労働者だけに絞ると平均はもっと高くなり、逆にパートタイム労働者だけなら低くなります。業種・役職・その月の忙しさによっても大きく変わります。つまり平均額は「世の中の傾向」を見るには使えても、「自分がいくらもらえるはずか」の判断材料にはなりにくいのです。
「自分の残業代が平均より少ない気がする」と感じても、それだけで不足とは言えません。大事なのは平均との比較ではなく、自分の月給と残業時間から計算した本来の額と、実際の支給額が合っているかどうかです。
3. 自分の残業代の出し方——基礎時給 × 割増率 × 残業時間
残業代は、次の式で求めます。
残業代 = 基礎時給 × 割増率 × 残業時間
基礎時給は、月給を「1か月の平均所定労働時間」で割った1時間あたりの賃金です。割増率は法律で最低ラインが決まっていて、法定時間外が25%以上、月60時間を超える部分が50%以上、深夜が25%以上、法定休日が35%以上です。たとえば厚生労働省の例では、通常1時間あたり1,000円で働く人の時間外労働は、割増を含めて1時間あたり1,250円以上(割増分250円)になります。
下は月給別・残業時間別の残業代の目安です(前提: 年間所定休日120日・1日8時間 → 1か月の平均所定労働時間 約163.3時間。すべて法定時間外で深夜・休日はなし。当サイトの計算エンジンによる概算)。
| 月給 | 基礎時給 | 残業20h | 残業45h | 残業65h |
|---|---|---|---|---|
| 25万円 | 1,530.61 円 | 38,265 円 | 86,097 円 | 126,276 円 |
| 30万円 | 1,836.73 円 | 45,918 円 | 103,316 円 | 151,531 円 |
| 40万円 | 2,448.98 円 | 61,224 円 | 137,755 円 | 202,041 円 |
残業65hの列は「60時間までを25%、超えた5時間を50%」で計算した値です。基礎時給は月給を約163.3時間で割った概算で、実際は会社の所定労働時間や算定基礎に入る手当の範囲で変わります。自分の数字は残業代計算ツールや時給×残業時間の早見表で確認できます。
4. 割増率のおさらい——重なると足し合わせる
残業代の割増率は、労働基準法37条で最低ラインが定められています。深夜や休日が重なると率を足し合わせて計算します。
| 働き方 | 割増率(最低) |
|---|---|
| 法定時間外(月60時間以下) | 25%以上 |
| 法定時間外(月60時間を超えた部分) | 50%以上 |
| 深夜(午後10時〜午前5時) | 25%以上 |
| 法定休日 | 35%以上 |
| 時間外+深夜 / 休日+深夜 | 50% / 60%以上 |
割増率の詳しい一覧と重なる場合の考え方は残業代の割増率まとめで解説しています。これらは会社の就業規則でこれより高い率が定められていればそちらが適用されます。
5. 次に確認したいこと
- 自分の残業代を計算したい — 残業代計算ツール / 時給×残業時間の早見表
- 計算の手順を知りたい — 残業代の計算方法(基礎時給の出し方)
- 割増率の全体像 — 残業代の割増率まとめ(時間外・深夜・休日・60時間超)
- 残業したのに残業代が出ないと感じる — 残業代が出ないのはなぜ?考えられる理由と相談窓口
- みなし残業(固定残業代)がある場合 — みなし残業とは(残業代は出る?)
- 公務員・教員は別のしくみ — 公務員・教員に残業代は出る?
- 残業代が増えると手取りは? — 手取り計算ツール(残業代込みで試算)
よくある質問
- Q. 残業代の平均はいくらですか?
- 「残業代の平均」に最も近い公的統計は、厚生労働省の毎月勤労統計調査の「所定外給与」です。2025年(令和7年)速報値では、事業所規模5人以上・全就業形態の平均で、労働者1人あたり月およそ19,885円でした。ただしこれは残業がまったくない人やパートも含めた全体平均で、実際に残業する人の金額はこれより高くなります。自分の目安は基礎時給×割増率×残業時間で計算するのが確実です。
- Q. 所定外給与とは何ですか?残業代と同じですか?
- 所定外給与は毎月勤労統計調査の用語で、所定の労働時間を超える労働への給与です。時間外手当(残業手当)・休日出勤手当・深夜手当などが含まれます。いわゆる残業代とほぼ同じ意味で使われますが、休日手当や深夜手当も含む点に注意してください。統計上は残業代に一番近い項目として参照できます。
- Q. 平均の統計を見れば自分の残業代の目安になりますか?
- あまり参考になりません。平均は、残業をしていない人や短時間のパートも分母に含めた全体の値だからです。残業時間は0時間から数十時間まで人により大きく差があり、基礎になる時給も月給で変わります。自分の残業代は、平均額ではなく自分の月給と実際の残業時間から「基礎時給×割増率×残業時間」で計算する方が正確です。
- Q. 自分の残業代はどう計算しますか?
- 「基礎時給×割増率×残業時間」で求めます。基礎時給は月給を1か月の平均所定労働時間で割った額です。割増率は法定時間外25%以上、月60時間超50%以上、深夜25%以上、法定休日35%以上。たとえば月給30万円(年間所定休日120日・1日8時間を前提)なら基礎時給は約1,836円で、法定時間外20時間なら残業代は約45,918円という計算です。残業代計算ツールで自分の金額を概算できます。
参考にした情報(一次情報・取得日2026年7月22日)
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果速報」— 就業形態計・事業所規模5人以上の現金給与総額・きまって支給する給与・所定内給与・所定外給与の月平均額。所定外給与は月約19,885円。mhlw.go.jp
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査で使用されている主な用語の説明」— 所定外給与=所定の労働時間を超える労働に対して支給される給与(時間外手当・休日出勤手当・深夜手当等)。mhlw.go.jp
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)第37条 — 割増率(時間外25%以上・月60時間超50%以上・法定休日35%以上・深夜25%以上)。laws.e-gov.go.jp(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「法定労働時間と割増賃金について教えてください」— 時間外の割増例(1時間1,000円→1,250円以上)。mhlw.go.jp
- 月給別の残業代の金額例は、当サイトの計算エンジン(上記の割増率・労働基準法施行規則19条の基礎賃金算定式に基づく)による概算です。
※統計の速報値は確報で改訂される場合があります。所定外給与は残業手当のほか休日・深夜の手当も含む点にご注意ください。最新の数値は厚生労働省の公表資料でご確認ください。