最終更新: (労働基準法37条・施行規則19条に対応)
残業代の計算方法——基礎時給の出し方と割増率のかけ方を3ステップで
結論: 残業代は「基礎時給 × 割増率 × 残業時間」で計算し、基礎時給は月給を1か月の平均所定労働時間で割って求めます。まず月給から基礎時給を出し(家族手当・通勤手当など7種類の手当は除く)、次に法定時間外なら1.25倍などの割増率をかけ、最後にその残業時間数をかけて合計します。月給が同じでも所定労働時間や手当の範囲で金額は変わるため、この記事の数字は目安です。
30秒でわかる 残業代の計算
| 計算式 | 基礎時給 × 割増率 × 残業時間 |
|---|---|
| 基礎時給 | 月給 ÷ 1か月の平均所定労働時間(=(365−年間所定休日)×1日の所定労働時間÷12) |
| 基礎から除ける手当 | 家族・通勤・別居・子女教育・住宅・臨時・1か月超ごとの賃金の7種類のみ |
| 割増率(最低) | 時間外1.25 / 月60h超1.50 / 深夜が重なれば1.50 / 法定休日1.35 |
| 厚労省の例 | 時給1,000円の人の時間外1時間 = 割増込み1,250円以上 |
自分の月給と残業時間を入れるだけで計算したい場合は残業代計算ツールが早いです。割増率そのものの一覧は残業代の割増率まとめで確認できます。
計算式の全体像——3つのステップ
残業代の計算は、次の3ステップに分けると迷いません。月給制の人を想定して順に見ていきます。
| STEP1 | 基礎時給を出す — 月給 ÷ 1か月の平均所定労働時間 |
|---|---|
| STEP2 | 割増率をかける — 働き方に応じた率(1.25 / 1.35 / 1.50 など) |
| STEP3 | 残業時間をかける — 種類ごとに時間数をかけ、足し合わせて1か月分に |
STEP1. 基礎時給を出す——月給を「平均所定労働時間」で割る
残業代の土台になるのが基礎時給です。労働基準法施行規則19条により、月給制では月給を1か月の平均所定労働時間で割って求めます。1か月の平均所定労働時間は次の式です。
1か月の平均所定労働時間 =(365 − 年間所定休日)× 1日の所定労働時間 ÷ 12
たとえば年間所定休日が120日・1日の所定労働時間が8時間なら、(365−120)×8÷12 = 約163.3時間です。月給30万円なら基礎時給は 300,000 ÷ 163.3 = 約1,837円になります。年間休日や所定労働時間が違えば、この基礎時給も変わります。
基礎に入れなくてよい手当は7種類だけです(労基法37条5項・施行規則21条の限定列挙)。次の手当は月給から差し引いてから割ります。
- 家族手当 / 通勤手当 / 別居手当 / 子女教育手当 / 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金 / 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
この7種類は「限定列挙」で、これ以外の役職手当・資格手当などは原則として基礎に含めます。また名称が同じでも、実態(たとえば家族の人数や住宅費に応じて支給されているか)で判断されるため、個別の扱いはお近くの労働基準監督署などで確認してください。
STEP2. 割増率をかける——時間外1.25倍が基本
基礎時給に、働き方に応じた割増率をかけます。法律の最低ラインは次のとおりです。
| 働き方 | かける倍率 | 意味 |
|---|---|---|
| 法定時間外(月60h以下) | 1.25 | 25%増し |
| 法定時間外(月60h超の部分) | 1.50 | 50%増し |
| 時間外+深夜 | 1.50 | 25+25% |
| 法定休日 | 1.35 | 35%増し |
| 法定休日+深夜 | 1.60 | 35+25% |
厚生労働省の例では、時給1,000円の人の時間外労働1時間は、割増を含めて1,250円以上(1,000×1.25)です。各割増率の詳しい根拠と、重なる場合の考え方は残業代の割増率まとめで解説しています。
STEP3. 残業時間をかけて1か月分に——月給別の計算例
最後に、割増後の金額にその残業時間をかけて合計します。下の表はすべて法定時間外(深夜・休日なし)とした場合の、月給別・残業時間別の残業代の目安です。
| 月給 | 基礎時給 | 残業20h | 残業45h | 残業65h |
|---|---|---|---|---|
| 25万円 | 1,530.61 円 | 38,265 円 | 86,097 円 | 126,276 円 |
| 30万円 | 1,836.73 円 | 45,918 円 | 103,316 円 | 151,531 円 |
| 40万円 | 2,448.98 円 | 61,224 円 | 137,755 円 | 202,041 円 |
前提: 年間所定休日120日・1日8時間(1か月の平均所定労働時間 約163.3時間)。残業65hの列は「60時間までを1.25倍、超えた5時間を1.50倍」で計算しています。当サイトの計算エンジンによる概算・目安で、実際は会社の所定労働時間や算定基礎に入る手当の範囲で変わります。
たとえば月給30万円で45時間残業なら、目安は約103,316円です。自分の月給・残業時間で試算するなら残業代計算ツール、時給と残業時間の早見表は残業代早見表をどうぞ。
固定残業代(みなし残業)がある場合の考え方
毎月「固定残業代◯円(◯時間分)」が支払われている場合は、少し扱いが変わります。まず固定残業代そのものは基礎時給の計算からは除きます(固定残業代は割増賃金部分であり、通常の労働時間の賃金ではないため)。そのうえで、実際の残業時間が「みなし時間」を超えた分について、追加の残業代が必要かどうかを確認します。
固定残業代の仕組みと、確認しておきたいポイントは固定残業代とは?確認すべきポイントで詳しく解説しています。
次に確認したいこと
- 自分の残業代を計算したい — 残業代計算ツール / 残業代早見表
- 割増率をくわしく知りたい — 残業代の割増率まとめ
- 固定残業代がある — 固定残業代とは?確認すべきポイント
- 残業代が増えると手取りは? — 手取り計算ツール(残業代込みで試算)
よくある質問
- Q. 残業代の計算式を教えてください。
- 基本の式は「基礎時給 × 割増率 × 残業時間」です。基礎時給は月給を1か月の平均所定労働時間で割った1時間あたりの賃金で、これに法定時間外1.25・深夜が重なれば1.50・法定休日1.35といった割増率をかけ、その働き方をした時間数をかけて合計します。
- Q. 基礎時給(残業代の時給)はどう計算しますか?
- 月給を「1か月の平均所定労働時間」で割ります。平均所定労働時間は(365−年間所定休日)×1日の所定労働時間÷12。年間所定休日120日・1日8時間なら約163.3時間で、月給30万円なら基礎時給は約1,837円です。会社の所定労働時間で値は変わります。
- Q. 基礎時給から除ける手当はありますか?
- 労基法37条5項と施行規則21条で、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとの賃金(賞与など)の7種類に限定されています。これ以外は原則基礎に含めます。名称でなく実態で判断されるため、個別は労働基準監督署などで確認してください。
- Q. 月給30万円で45時間残業すると残業代はいくらですか?
- 年間所定休日120日・1日8時間(平均所定約163.3時間)を前提に、すべて法定時間外(深夜・休日なし)とすると、基礎時給約1,837円 × 1.25 × 45時間で目安は約103,316円です。概算であり、実際は所定労働時間や手当の範囲で変わります。
- Q. 1分単位・15分単位の切り捨ては認められますか?
- 残業時間は原則1分単位で計算します。日々の残業を15分・30分単位で切り捨てる扱いは原則認められません。例外として、1か月の時間外・休日・深夜労働の時間数の合計に30分未満の端数が出た場合に切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる事務処理は通達で認められていますが、これは月合計に対する処理です。
参考にした情報(一次情報・取得日2026年7月22日)
- 労働基準法施行規則 第19条 — 月給制の基礎賃金は「月給÷月の所定労働時間数(月により異なる場合は1年間の1か月平均所定労働時間数)」で算定。laws.e-gov.go.jp(e-Gov法令検索)
- 労働基準法 第37条第5項・施行規則 第21条 — 基礎に算入しない手当(家族・通勤・別居・子女教育・住宅・臨時・1か月超ごとの賃金)の限定列挙。laws.e-gov.go.jp(法本体) / 施行規則
- 厚生労働省「法定労働時間と割増賃金について教えてください」— 時給1,000円の時間外1時間は1,250円以上の例。mhlw.go.jp
- 労働時間の端数処理(1か月の合計時間の30分未満切り捨て等)は昭和63年3月14日基発150号の通達によるもので、丸めの採否は各社の就業規則にもよります。
- 金額例は当サイトの計算エンジン(上記の算定式・割増率に基づく)による概算です。手書きの数値ではありません。
※基礎時給・残業代は「1か月の平均所定労働時間」「基礎に入る賃金の範囲」に依存する概算です。正確な計算は勤務先の就業規則やお近くの労働基準監督署でご確認ください。