給料の「引かれるお金」がぜんぶわかる

最終更新: (給特法・地方公務員法・国家公務員法の現行規定に対応)

公務員に残業代は出る?——超過勤務手当と、教員の「給特法」

結論: 公務員も残業には手当が出るのが原則です。国家公務員には超過勤務手当、地方公務員には時間外勤務手当が支給されます。ただし根拠になる法律は民間と少し違います。そして大きな例外が公立学校の教員で、給特法により時間外勤務手当は支給されず、代わりに教職調整額(2026年時点で給料月額の5%、段階的に10%へ)が支給されます。この記事で、職種による違いを整理します。

30秒でわかる「公務員と残業代」

国家公務員(一般職)超過勤務手当が出る。労働基準法は直接は適用されず、給与法・人事院規則で定める
地方公務員時間外勤務手当が出る。労働基準法37条(割増賃金)が適用され、各自治体の給与条例で定める
公立学校の教員給特法で時間外勤務手当は支給されない。代わりに教職調整額(2026年は5%)
管理職の職員は?民間の管理監督者と同様、管理・監督の地位にある職員は時間外・休日の手当の扱いが異なる
相談窓口労働基準監督署ではなく人事委員会・公平委員会や任命権者(教員は教育委員会など)

当サイトの残業代計算ツールは民間(労働基準法)の割増率をもとにした概算です。公務員の手当は条例・規則で定められるため、正確な額は勤務先の給与規定でご確認ください。

1. 公務員も「残業には手当が出る」のが原則

「公務員は残業代が出ない」というイメージを持たれることがありますが、正確ではありません。国家公務員・地方公務員とも、正規の勤務時間を超えて働いた場合には手当が支給されるのが原則です。国家公務員では「超過勤務手当」、地方公務員では「時間外勤務手当」という名前で呼ばれます。

よく「公務員は残業代が出ない」と言われる背景には、予算の制約で実際の残業時間どおりに支給されないケースがあるという運用面の問題や、後で述べる教員(給特法)の仕組みが混同されている面があります。制度として手当が用意されていないわけではありません。

2. 民間との違い——根拠になる法律が異なる

民間企業の労働者は、労働基準法37条にもとづいて残業代(割増賃金)が支払われます。公務員の場合は、その根拠になる法律が職種によって異なります。

国家公務員(一般職)労働基準法は直接は適用されません。国家公務員法により、人事院規則などで定めた事項に矛盾しない範囲で労働基準法を準用する形をとり、超過勤務手当は「一般職の職員の給与に関する法律」などで定められます
地方公務員労働基準法の割増賃金の規定(37条)が適用されます。地方公務員法58条で、労働基準法のうち適用しない条文が列挙されていますが、割増賃金の37条はそこに含まれず適用され、時間外勤務手当は各自治体の給与条例で定められます

また、民間で「管理監督者」に残業代が義務づけられないのと同じように、公務員でも管理・監督の地位にある職員は時間外・休日の手当の扱いが異なります。この考え方は民間の管理職と共通する部分があり、詳しくは管理職に残業代は出ない?——管理監督者の条件と深夜割増をあわせてご覧ください。

具体的な支給額・支給条件は、国家公務員なら人事院規則、地方公務員なら各自治体の給与条例で定められます。自分の勤務先のルールは、給与担当や勤務先の規程でご確認ください。

3. 例外は「公立学校の教員」——給特法で時間外勤務手当が出ない

公務員の中でも扱いが大きく違うのが公立学校の教員です。教員には給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)という特別な法律が適用され、この法律で時間外勤務手当と休日勤務手当は支給しないと定められています。そのため、教員には民間や他の公務員のような残業代がつきません。

その代わりに、給料月額に一定割合を上乗せする「教職調整額」が支給されます。教職調整額の割合は長く給料月額の4%でしたが、2025年(令和7年)の給特法改正で段階的に引き上げられ、最終的に10%になります。改正法の経過措置により、当面は次のスケジュールで上がっていきます。

期間教職調整額(給料月額に対する割合)
2026年(令和8年)1月〜5%
2027年(令和9年)1月〜6%
2028年(令和10年)1月〜7%
2029年(令和11年)1月〜8%
2030年(令和12年)1月〜9%
2031年(令和13年)1月〜10%

したがって2026年時点では給料月額の5%が基準です(幼稚園の教育職員は4%のまま)。実際の額は各自治体の条例で定められます。たとえば給料月額30万円の教員なら、2026年時点の教職調整額は月およそ15,000円(30万円×5%)という計算になります。これは実際の残業時間の長さとは連動しない点が、民間の残業代と大きく違うところです。

4. 相談窓口は民間と違う——人事委員会など

残業代・手当の扱いに疑問があるとき、民間の労働者は労働基準監督署に相談できますが、公務員の勤務条件は労働基準監督署の対象外になることが多い点に注意が必要です。地方公務員法では、勤務条件に関する労働基準監督機関の職権は、原則として人事委員会またはその委任を受けた委員(人事委員会を置かない自治体では自治体の長)が行うと定められています。

そのため、まずは所属先の人事・給与担当に確認し、必要に応じて人事委員会・公平委員会や、教員であれば教育委員会など任命権者に相談するのが基本的な流れです。勤務時間や手当の記録(勤務時間報告・給与明細など)を手元にそろえておくと話が進みやすくなります。

当サイトは個別の相談・請求の代行は行っていません。制度の一般的な整理として参考にしてください。

5. 次に確認したいこと

よくある質問

Q. 公務員に残業代は出ますか?
出るのが原則です。国家公務員には超過勤務手当、地方公務員には時間外勤務手当が支給されます。ただし根拠になる法律は民間と異なり、国家公務員(一般職)には労働基準法が直接は適用されず給与法・人事院規則で定められ、地方公務員には労働基準法の割増賃金の規定(37条)が適用され各自治体の給与条例で定められます。なお公立学校の教員は給特法により時間外勤務手当は支給されません。
Q. なぜ教員には残業代(時間外勤務手当)が出ないのですか?
公立学校の教育職員には給特法という特別な法律が適用されるためです。この法律で、教員には時間外勤務手当と休日勤務手当を支給しないと定められており、その代わりに給料月額に一定割合を上乗せする「教職調整額」が支給されます。勤務時間の管理になじみにくい教員の職務の特殊性をふまえた仕組みとされています。
Q. 教職調整額は給料の何%ですか?
従来は給料月額の4%でしたが、2025年(令和7年)の給特法改正で段階的に引き上げられ、最終的に10%になります。経過措置により2026年(令和8年)1月から5%、以降毎年1%ずつ上がり、2027年6%、2028年7%、2029年8%、2030年9%、2031年(令和13年)1月から10%です。2026年時点では5%が基準です(幼稚園の教育職員は4%のまま)。実際の額は各自治体の条例で定められます。
Q. 公務員の残業代のことはどこに相談すればいいですか?
公務員の勤務条件は、民間の労働基準監督署ではなく、勤務先の人事委員会・公平委員会や任命権者(教員の場合は教育委員会など)が窓口になります。地方公務員の勤務条件に関する労働基準監督機関の職権は原則として人事委員会などが行うと定められているためです。まずは所属先の人事・給与担当に確認し、必要に応じて人事委員会などに相談するのが基本です。

参考にした情報(一次情報・取得日2026年7月22日)

※教職調整額の割合や支給条件の詳細は、2025年(令和7年)の給特法改正の背景を含め、文部科学省の資料や各自治体の給与条例でご確認ください。制度改定の可能性があるため、最新の内容は各公式ページでご確認ください。

本記事は一般的な制度の解説です(2026年7月時点。給特法・地方公務員法・国家公務員法・労働基準法および公表資料に基づく概算・目安)。特定の職員に手当が支給されるべきかどうかを判定するものではありません。実際の支給額・支給条件は、人事院規則や各自治体の給与条例、勤務先の規程により異なります。教職調整額など時点により変わる制度は、最新の内容を各公式ページでご確認ください。手当の取り扱いに疑問がある場合は、勤務先の人事・給与担当や人事委員会などにご相談ください。当サイトは個別のご相談・請求の代行には対応していません。
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