最終更新: (令和8年度・日本年金機構の公表資料に基づく)
国民年金の免除はしない方がいい?——デメリットと、未納との決定的な違い
結論から言うと、免除は一律に「しない方がいい」とも「した方がいい」とも言えません。免除のデメリットは将来の年金が減ることですが、保険料を払えないのに未納で放置するほうが不利です。免除なら受給資格期間に算入され、万一のときの障害年金・遺族年金の保障も残るからです。この記事では「しない方がいい?」という不安に両面から答えます。数値は概算・目安で、あなたにとっての損得の断定はしません。
まず結論:デメリットは確かにある。でも未納よりはずっと安全
「免除すると将来の年金が減るから、しない方がいいのでは」という不安はもっともです。実際、免除には将来の年金が減るというデメリットがあります。ただし、そもそも保険料を払えない状況で選ぶ現実的な選択肢は、「未納で放置する」か「免除を申請する」かのどちらかであることが多いはずです。この2つを比べると、免除のほうが不利になりにくい——これが日本年金機構の資料から読み取れる一般的な整理です。以下、デメリットと、未納との違いを順に見ていきます。
(1)デメリット——将来の老齢基礎年金が減る
免除の一番のデメリットは、将来受け取る老齢基礎年金が減ることです。全額免除の期間は「全額納付した場合の2分の1」しか年金額に反映されません。令和8年度の老齢基礎年金の満額(新規裁定・年847,296円/40年納付が前提)をもとに試算すると、たとえば全額免除を2年間(24月)受けた場合、将来の年金が年約21,182円減る計算になります(生涯にわたって毎年)。
納付猶予と学生納付特例は、さらにその期間が年金額にまったく反映されません(受給資格期間には算入されます)。減る額は免除の区分と期間で変わるので、ご自身のケースは下のシミュレーターで概算してみてください。なお、この減少分はあとから追納すれば取り戻せます(後述)。
🧮 免除で将来の年金がいくら減るか試算する(免除シミュレーター)(2)未納との決定的な違い——保障が残るかどうか
ここが最も大切なポイントです。「免除の罠」などと言われて不安になる方が多いのですが、その正体は多くの場合、免除と未納を混同していることにあります。手続きをした「免除」と、手続きをしていない「未納」は、扱いがまったく違います。
| 免除・猶予(手続きあり) | 未納(手続きなし) | |
| 受給資格期間(10年)への算入 | 算入される | 算入されない |
| 老齢基礎年金への反映 | 区分に応じて一部反映(全額免除でも2分の1) | 反映されない |
| 障害年金・遺族年金の保障 | 原則として残る | 受け取れない場合がある |
とくに見落とされがちなのが、障害年金・遺族年金です。日本年金機構は、退職者向けの案内で次のように説明しています(逐語)。
保険料の免除・納付猶予を受けた期間中に、病気やけがで障害や死亡といった不測の事態が発生し、一定の要件に該当する場合は、障害年金や遺族年金を受け取ることができます。手続きをせず保険料が未納となっている場合には、障害年金や遺族年金が受け取れない場合があります。
つまり、払えないときに未納で放置すると、老後の年金が減るだけでなく、もしもの障害・死亡のときの保障まで失いかねないということです。免除を申請しておけば、この保障は原則として残ります。
(3)迷ったときの一般的な考え方
以上をふまえると、制度上の一般的な整理は次のようになります。あくまで一般論であり、あなた個人の最適解を断定するものではありません。
- 保険料を問題なく払えるなら、納付するのが基本(将来の年金が満額に近づく)。
- 払うのが難しいなら、未納で放置することだけは避け、まず免除・猶予を申請する(受給資格期間と障害・遺族年金の保障を守るため)。
- 余裕ができたら、10年以内に追納して年金額を回復させることを検討する。
「自分は追納すべきか」「どの区分で申請すべきか」といった個別の判断は、日本年金機構やお住まいの市区町村の年金窓口でご相談ください。この記事では、あなたにとっての損得を断定することはしません。
免除した分は「追納」で取り戻せる
免除・猶予を受けた期間は、承認された月の前10年以内であれば後から保険料を納める「追納」ができ、納めた分だけ将来の年金額が回復します。ですから、免除は「一度受けたら年金が減りっぱなし」というものではありません。ただし、免除を受けた年度の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると加算額が上乗せされるため、追納するなら早めが有利です。くわしくは国民年金の追納とは?をご覧ください。
🧮 免除・追納で将来の年金がどう変わるか試算するよくある質問
- Q. 国民年金の免除はしない方がいいのですか?
- 一律に「しない方がいい」「した方がいい」とは言えず、状況によります。免除のデメリットは将来の年金が減ることですが、払えないのに未納で放置すると受給資格期間に算入されず、障害年金・遺族年金も受け取れない場合があります。払えないなら、未納で放置するより免除を申請しておくほうが保障の面で不利になりにくい、というのが制度上の一般的な整理です。個別の損得は年金事務所でご相談ください。
- Q. 免除のデメリットは何ですか?
- 最大のデメリットは将来の老齢基礎年金が減ることです。全額免除の期間は満額の2分の1しか反映されず、たとえば全額免除を2年間受けると将来の年金が年約21,182円減る試算です(令和8年度の満額847,296円が基準)。納付猶予・学生納付特例はその期間が年金額に反映されません。ただし追納すれば取り戻せます。
- Q. 免除と未納はどちらが不利ですか?
- 未納のほうが不利です。免除は受給資格期間に算入され、年金額にも一部反映され、障害年金・遺族年金の保障も残ります。未納はいずれも受けられない場合があります。「免除の罠」の正体は、多くの場合、免除と未納の混同にあります。
- Q. 迷ったらどうすればいいですか?
- 一般的には、払えない状況なら未納で放置することは避け、免除・猶予を申請しておくのが安全です。そのうえで余裕ができたら10年以内に追納して回復させるのが基本の順序です。追納すべきか、どの区分で申請すべきかといった個別の判断は年金窓口でご相談ください。
- Q. 免除した分は取り戻せますか?
- はい、追納で取り戻せます。承認された月の前10年以内なら後から納められ、納めた分だけ年金額が回復します。ただし免除を受けた年度の翌年度から3年度目以降に追納すると加算額が上乗せされます。
あわせて読む: 免除の種類や所得の目安は国民年金の免除とは?、免除した分を取り戻す方法は国民年金の追納とは?、保険料そのものの額は国民年金はいくら?で解説しています。
🧮 免除で将来の年金がどう変わるか試算する(免除シミュレーター) 🧮 フリーランス・個人事業主の手取りを計算する参考にした一次情報
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」 — 免除期間の年金額への反映率、受給資格期間の扱い。nenkin.go.jp(2026年7月24日取得)
- 日本年金機構「【転職をご検討中の方へ】保険料免除・納付猶予制度のご案内」 — 免除・納付猶予期間中の障害年金・遺族年金の扱い、未納との違い(逐語引用箇所)。nenkin.go.jp(2026年7月24日取得)
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」 — 追納は承認月の前10年以内・翌年度から3年度目以降は加算額。nenkin.go.jp(2026年7月24日取得)
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」 — 令和8年度の老齢基礎年金の満額(新規裁定 年847,296円/40年納付前提)。nenkin.go.jp(2026年7月24日取得)