給料の「引かれるお金」がぜんぶわかる

最終更新: (2026年度・令和8年度の制度に対応)

個人事業主の税金はいくら?——所得税・住民税・国保・国民年金の全体像【2026年】

結論として、個人事業主・フリーランスにかかるお金は主に「所得税・住民税・国民健康保険・国民年金」の4つです(売上規模により消費税、業種により個人事業税が加わることも)。会社員のように天引きされないぶん、自分で把握しておかないと確定申告や納付の時期にまとまって驚くことになります。この記事は、それぞれの仕組みと目安、そして売上600万・経費100万の手取り設例までを一枚で整理する入口です(すべて概算・目安)。

個人事業主にかかるお金の全体地図

まず全体像です。会社員は給与から自動で引かれますが、個人事業主は売上から経費を引いた「事業所得」をもとに、自分で計算・納付します。

種類納め先ざっくりの決まり方
所得税課税所得に5〜45%の累進(+復興特別所得税2.1%)
住民税市区町村・都道府県所得割 約10%+均等割(年5,000円程度)
国民健康保険市区町村令和8年度は4区分。所得割+均等割(自治体で料率が異なる)
国民年金国(日本年金機構)令和8年度は月17,920円の定額(所得に関係なし)
消費税・個人事業税国/都道府県売上規模・業種によりかかる場合がある(後述)

このうち国民健康保険と国民年金は「社会保険料控除」として所得税・住民税の計算で差し引けるため、税金と社会保険はつながっています。順に見ていきます。

① 所得税——速算表と令和8年分の基礎控除

所得税は、事業所得(売上−必要経費−青色申告特別控除)から所得控除を引いた「課税所得」に、次の速算表を当てはめて計算します。所得が上がるほど税率が上がる累進課税です。

課税所得金額税率控除額
1,000〜194.9万円5%0 円
195〜329.9万円10%97,500 円
330〜694.9万円20%427,500 円
695〜899.9万円23%636,000 円
900〜1,799.9万円33%1,536,000 円
1,800〜3,999.9万円40%2,796,000 円
4,000万円〜45%4,796,000 円

所得税額 =(課税所得 × 税率 − 控除額)。さらに復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が加わります。

課税所得を出すときに誰でも引ける基礎控除は、令和7年分・令和8年分は合計所得金額に応じて次のように段階的に変わります(令和7年度の税制改正による引き上げ)。

合計所得金額令和7年分・令和8年分の基礎控除
132万円以下95万円
132万円超 336万円以下88万円
336万円超 489万円以下68万円
489万円超 655万円以下63万円
655万円超 2,350万円以下58万円
2,350万円超 2,400万円以下48万円
2,400万円超 2,450万円以下32万円
2,450万円超 2,500万円以下16万円
2,500万円超0円

※所得税の基礎控除の引き上げは、住民税や国民健康保険には波及しません(住民税・国保の基礎控除は43万円のまま)。

② 住民税——所得割 約10%+均等割

住民税は、お住まいの自治体に納める税金で、大きく2つでできています。

住民税の基礎控除は43万円で、所得税より低めです。所得税は所得が少ないと税率5%ですが、住民税の所得割はほぼ一律10%のため、「所得税より住民税のほうが重く感じる」ことがよくあります。住民税の仕組みは住民税が高いのはなぜ?でも解説しています。

③ 国民健康保険——令和8年度から4区分に

退職・独立で会社の健康保険を抜けると、多くの人が国民健康保険(国保)に加入します。令和8年度からは、従来の3区分に「子ども・子育て支援金分」が新設され、次の4区分になりました。各区分で「所得割(前年所得に応じた分)+均等割(加入者数に応じた定額)」を計算し、区分ごとの上限(賦課限度額)で頭打ちになります。

区分賦課限度額(令和8年度)対象
医療分67万円全加入者
後期高齢者支援金分26万円全加入者
介護分17万円40〜64歳のみ
子ども・子育て支援金分
(令和8年度 新設)
3万円加入者
合計の上限113万円

所得割の計算のもとになるのは、いわゆる「旧ただし書き所得」=前年の総所得金額等 − 43万円です。所得が低い世帯には均等割の7割・5割・2割軽減もあります。料率・軽減基準は自治体ごとに大きく異なるため、正確な額はお住まいの自治体の通知でご確認ください。目安は国民健康保険はいくら?(令和8年度)で、実額の試算は国民健康保険料シミュレーターで確認できます。

④ 国民年金——令和8年度は月17,920円の定額

国民年金は所得に関係なく定額で、令和8年度は月17,920円(1年で215,040円)です。会社員の厚生年金と違い、収入で変わりません。

仕組みと増やし方は国民年金はいくら?(令和8年度)で詳しく整理しています。

消費税・インボイス、個人事業税について

上の4つに加えて、次の税が関係する場合があります。金額や要否は状況によって変わり、当サイトでは具体的な基準額の断定は避けています。該当するかどうかは必ず公式情報でご確認ください。

消費税・インボイス・個人事業税は、事業内容や売上規模で扱いが大きく変わる分野です。本記事は「こうした税もある」という全体像の案内までとし、具体的な判断は公式情報・税務署・専門家にご相談ください。

青色申告特別控除(65万・55万・10万)

個人事業主が使える大きな節税の入口が青色申告特別控除です。事業所得から最大65万円を差し引けます(控除額は事業所得を限度とし、赤字は作りません)。

控除額主な要件
65万円55万円の要件+電子帳簿保存またはe-Taxで期限内に電子申告
55万円事業を営む・複式簿記で記帳・貸借対照表と損益計算書を添付し期限内(翌年3/15まで)に申告
10万円上記に当てはまらない青色申告者(簡易簿記など)

手取りの設例——売上600万・経費100万の場合

実際に数字を通してみます。売上600万円・必要経費100万円・青色申告65万円控除・東京23区・40歳未満・単身のケースを、当サイトの検証済みエンジンで計算した内訳です。

項目金額
売上6,000,000 円
必要経費− 1,000,000 円
青色申告特別控除− 650,000 円
事業所得(課税のもと)4,350,000 円
国民健康保険481,600 円
国民年金215,040 円
所得税(復興特別所得税込み)203,900 円
住民税324,800 円
手取り(年)3,774,660 円
手取り(月あたり)約 314,555 円

手取り = 売上 − 経費 −(所得税+住民税+国保+国民年金)。この例の負担率(税・社会保険料の合計 ÷ 手元に残るお金の前)は約24.5%です。金額は経費・家族構成・お住まいの自治体で変わります。ご自身の数字での試算は下のツールへ。

🧮 フリーランス・個人事業主の手取りシミュレーター(売上・経費を入れて計算) 🏥 国民健康保険料シミュレーター

このテーマを深掘りする(関連ページ)

よくある質問

Q. 個人事業主にはどんな税金・社会保険がかかりますか?
主に4つで、①所得税(事業所得に5〜45%の累進)、②住民税(所得割 約10%+均等割 年5,000円程度)、③国民健康保険(令和8年度は4区分)、④国民年金(令和8年度は月17,920円の定額)です。このほか、売上規模によっては消費税(インボイス制度を含む)、一部の業種には都道府県の個人事業税がかかる場合があります。要否は国税庁・お住まいの都道府県の公式情報でご確認ください。
Q. 個人事業主の所得税はどう計算しますか?
事業所得(売上−必要経費−青色申告特別控除)から基礎控除・社会保険料控除などを引いた課税所得に、速算表(5〜45%の累進、控除額あり)を当てはめ、復興特別所得税(2.1%)を加えます。基礎控除は令和7年分・令和8年分は合計所得金額に応じて95万円〜0円で、たとえば合計所得132万円超336万円以下では88万円です。
Q. 国民健康保険は令和8年度から何が変わりましたか?
従来の医療分・後期高齢者支援金分・介護分に加えて「子ども・子育て支援金分」(限度額3万円)が新設され、4区分になりました。賦課限度額の合計は113万円です。各区分は「所得割+均等割」で計算します。料率・軽減基準は自治体ごとに異なり、当サイトのツールは東京23区の令和8年度料率による概算です。
Q. 青色申告特別控除の65万円を受けるには何が必要ですか?
55万円控除の要件(事業を営む・複式簿記で記帳・貸借対照表と損益計算書を添付して期限内申告)を満たしたうえで、さらに電子帳簿保存またはe-Taxでの期限内の電子申告のいずれかが必要です。満たさない青色申告者は10万円控除になります。控除額は事業所得を限度とし、赤字は作りません。
Q. 売上600万円・経費100万円の個人事業主の手取りはいくらですか?
東京23区・40歳未満・単身・青色65万円控除の前提で、当サイトの検証済みエンジンの試算では年間手取りは約3,774,660円(月あたり約314,555円)です。内訳は、国民健康保険 481,600円、国民年金 215,040円、所得税(復興特別所得税込み)203,900円、住民税 324,800円。一定の前提を置いた概算で、経費・家族構成・お住まいの自治体で変わります。

まずは自分の数字で確かめたい方はフリーランス・個人事業主 手取りシミュレーターへ。会社員との違いが気になる方は会社員とフリーランスで手取りはどう違う?、国保・国民年金をさらに詳しくは国民健康保険はいくら?国民年金はいくら?へ。

🧮 フリーランス・個人事業主 手取りシミュレーター
本記事は一般的な制度の解説で、金額はすべて概算・目安です(2026年7月時点・令和8年度の公表情報に基づく)。試算は当サイトの検証済み計算エンジンによるもので、東京23区(特別区統一保険料率)・40歳未満・単身・扶養なしなど一定の前提を置いています。国民健康保険料の料率・軽減は自治体ごとに異なります。消費税・インボイス・個人事業税は事業内容により扱いが変わります。実際の金額・要否は、確定申告・お住まいの自治体の通知・国税庁の公式情報・税務署・専門家にご確認ください。個別のご相談には対応していません。
手取りナビのトップ(計算ツール)へ

参考にした一次情報