給料の「引かれるお金」がぜんぶわかる

最終更新: (2026年度・令和8年度の制度に対応)

会社員とフリーランスで手取りはどう違う?——同じ額面で実額比較【2026年】

結論から言うと、経費がほとんどない働き方では、同じ額面でも会社員のほうが手取りが多くなりやすいです。会社員には給与所得控除が自動で付き、社会保険料は会社と折半だからです。一方フリーランスは経費と青色申告を使えるほど負担が軽くなり、差は縮まります。どちらが得かは経費・保障・働き方で変わるため、以下の実額と仕組みを見て判断してください(すべて概算・目安です)。

同じ額面での手取り比較(検証済みエンジンの試算)

会社員の額面年収と、フリーランスの売上(経費ゼロ)を同じ金額にそろえ、当サイトの検証済み計算エンジンで年間手取りを出したものです。いずれも東京都/東京23区・40歳未満・単身・扶養なし、会社員は賞与なし・月給×12、フリーランスは経費ゼロ・青色申告特別控除65万円という前提です。

同じ額面会社員の年間手取り
(月あたり)
フリーランスの年間手取り
(月あたり)
400万円3,135,096 円
月 261,258 円
3,077,860 円
月 256,488 円
600万円4,594,308 円
月 382,859 円
4,420,060 円
月 368,338 円
800万円5,902,896 円
月 491,908 円
5,654,360 円
月 471,196 円

※会社員の額面は月給×12で計算したため、400万円=3,999,996円、800万円=7,999,992円というわずかな端数があります(600万円は月給50万円×12でちょうど)。フリーランスは売上=同額・経費ゼロで計算。会社員の社会保険料は協会けんぽ(東京都)、フリーランスの国民健康保険は東京23区(特別区統一保険料率)の令和8年度料率です。いずれも概算で、実際の金額は明細・通知でご確認ください。

この前提(経費ゼロ)では、額面が上がるほど会社員との差が広がります。400万円で年約5.7万円、600万円で年約17.4万円、800万円で年約24.9万円、会社員のほうが手取りが多い試算です。これは主に給与所得控除の効きが大きいためで、次の章で仕組みを見ます。

なぜ同じ額面でも手取りが違う?——3つの構造

差が生まれる理由は、大きく次の3つに整理できます。

比べる点会社員フリーランス(個人事業主)
収入から引く控除給与所得控除(年収に応じ約124万〜195万円が自動で差し引かれる)必要経費+青色申告特別控除(最大65万円)。経費が少ないと控除も小さい
社会保険の負担健康保険・厚生年金は会社と労使折半(半分は会社負担)国民健康保険・国民年金は全額自己負担
年金(将来)厚生年金=国民年金(基礎年金)に上乗せの2階部分あり国民年金のみ(定額 月17,920円/令和8年度)。上乗せは任意で用意

経費ゼロの前提で会社員が有利に出る最大の理由は、給与所得控除です。たとえば額面400万円の会社員は約124万円が自動で差し引かれますが、フリーランスの経費ゼロなら控除は青色申告の65万円のみ。この控除の差がそのまま課税所得の差になり、所得税・住民税・国民健康保険の所得割まで押し上げます。

社会保険料そのものはむしろ会社員のほうが大きいこともあります(厚生年金は国民年金より高い)。それでも会社員の手取りが多いのは、保険料の半分を会社が負担し、控除も大きいためです。

フリーランスの「経費」と青色申告が効く仕組み

上の比較は「経費ゼロ」という、フリーランスに最も不利な前提でした。実際には、事業に使う支出は必要経費として売上から差し引けます。売上600万円で、経費を変えたときの税・社会保険料の合計を、同じエンジンで出すと次のようになります(青色65万円・東京23区・40歳未満・単身)。

売上600万円税・社会保険料の合計
(所得税+住民税+国保+国民年金)
経費 0 円1,579,940 円
経費 100万円1,225,340 円
経費 200万円922,140 円

経費が増えるほど、税と社会保険料の合計は下がります。ここで大切なのは、経費はあくまで「使ったお金」なので、そのまま手元に残るわけではないという点です。フリーランスの本当の強みは、会社員なら手取りの中から自腹で払うもの(仕事用のPC・通信費・書籍・自宅家賃の按分など)を、税金がかかる前に経費として差し引けることにあります。同じ支出でも、税・社会保険料の分だけ実質的な負担が軽くなります。

なお、青色申告で65万円の特別控除を受けるには、複式簿記による記帳に加えて、e-Taxでの電子申告または電子帳簿保存などの要件があります。仕組みは個人事業主の税金はいくら?で整理しています。

手取りだけでは見えない「保障」の差

手取りの多い少ないだけで比べると、独立後に思わぬ差に気づくことがあります。会社員が受けられて、フリーランス(国民健康保険)にはない主な保障です。

逆にフリーランスには、働く時間・場所・仕事の選び方の自由や、経費・売上の裁量という会社員にはないメリットがあります。「手取り」「保障」「自由度」は別々の軸で、どれを重視するかで見え方が変わります。

結論——「どちらが得」は一概に言えない

今回の試算では、経費が少ない働き方なら、同じ額面で会社員のほうが手取りが多くなりやすい結果でした。ただしそれは、フリーランスに最も不利な「経費ゼロ」を置いたときの話です。実際には、

という違いがあり、手取りの金額だけで優劣は決められません。大切なのは、自分の売上・経費・家族構成での実額を知ったうえで、保障や自由度とあわせて考えることです。下の2つのツールで、両方の立場の手取りを確かめられます。

🧮 フリーランス・個人事業主の手取りを試算する(手取りシミュレーター) 💴 会社員の月給から手取りを計算する(手取り計算ツール)

よくある質問

Q. 同じ額面なら、会社員とフリーランスのどちらが手取りが多いですか?
経費がほとんどないケースでは、会社員のほうが手取りが多くなりやすいです。東京都・40歳未満・単身・賞与なし、フリーランスは経費ゼロ/青色65万円控除という前提の試算で、額面600万円の年間手取りは会社員が約459万円、フリーランスが約442万円でした。会社員には給与所得控除(年収に応じ約124万〜195万円)が自動で付くためです。ただし経費を差し引ける働き方では差が縮まり、一概にどちらが得とは言えません。
Q. なぜ同じ額面でも手取りが変わるのですか?
主な理由は3つです。①控除の違い(会社員は給与所得控除、フリーランスは経費+青色申告特別控除)、②社会保険の負担構造(会社員は労使折半、フリーランスは全額自己負担)、③年金(会社員は厚生年金で上乗せあり、フリーランスは国民年金のみで定額)。この3つが課税所得と保険料を変えるため、額面が同じでも手取りが変わります。
Q. フリーランスの国民年金と会社員の厚生年金は何が違いますか?
国民年金は所得に関係なく定額で、令和8年度は月17,920円(年215,040円)です。厚生年金は給与に比例し、会社と折半で負担します。厚生年金は国民年金(基礎年金)に上乗せされる「2階部分」があるため、将来の年金は会社員のほうが手厚くなりやすい一方、現役時の負担も大きくなります。フリーランスは付加年金・国民年金基金・iDeCoで上乗せを自分で用意できます。
Q. 傷病手当金や出産手当金はフリーランスももらえますか?
傷病手当金・出産手当金は、勤務先の健康保険に加入する会社員などが対象の給付です。フリーランスが加入する国民健康保険には原則としてありません。病気やケガ・出産で働けない期間の所得補償の差は、手取りの金額だけでは見えない重要な違いです。
Q. 独立して手取りが下がらないためには、いくら稼げばよいですか?
目安は、独立後に経費・社会保険・税を引いた手取りが、今の会社員時代の手取りに届くかで考えることです。経費が少ない働き方なら同じ額面では手取りが下がりやすいため、その差を埋める売上が必要です。逆に経費を計上できるほど負担率は下がります。ご自身の売上・経費での手取りは、フリーランス手取りシミュレーターと会社員の手取り計算ツールの両方で確認してください。

次に読む: 個人事業主にかかる税金の全体像は個人事業主の税金はいくら?(所得税・住民税・国保・国民年金の全体像)、国民健康保険の仕組みは国民健康保険はいくら?(令和8年度)、国民年金は国民年金はいくら?(令和8年度)へ。会社員の住民税が気になる方は住民税が高いのはなぜ?もどうぞ。

🧮 フリーランス・個人事業主の手取りシミュレーター
本記事は一般的な制度の解説で、金額はすべて概算・目安です(2026年7月時点・令和8年度の公表情報に基づく)。試算は当サイトの検証済み計算エンジンによるもので、東京都(協会けんぽ)/東京23区(特別区統一保険料率)・40歳未満・単身・扶養なしなど一定の前提を置いています。国民健康保険料の料率・軽減は自治体ごとに異なります。実際の金額は給与明細・自治体の通知・確定申告でご確認ください。個別の税務・保険のご相談には対応していません。
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参考にした一次情報