最終更新: (令和7年8月1日以降の制度に対応)
定年退職後の失業保険はいくら?給付制限なし・受給期間延長の特例
結論: 64歳以下の定年退職は失業保険(基本手当)の対象です。自己都合退職と違って給付制限がなく、待期7日が終われば受け取り始められます。もらえる日数は加入期間で90〜150日。すぐに働かず休みたい人は、受給期間を最長1年延長できる特例(申請は離職日の翌日から2か月以内)があります。65歳以上で辞めた場合は基本手当ではなく一時金の高年齢求職者給付金になります。順番に整理します。
⏱ 時点に関する注記: 基本手当日額の上限額・下限額は毎年8月1日に改定されます。本記事の金額例は令和7年(2025年)8月〜令和8年(2026年)7月の額にもとづく概算です。所定給付日数・給付制限・受給期間延長の日数は本記事作成時点(2026年7月)の制度に基づきます。
定年退職の失業保険は「給付制限なし」がポイント
「定年は自分から辞めるから自己都合?すぐにはもらえないの?」と心配になりますが、そうではありません。給付制限がかかるのは「正当な理由がない自己都合退職」と「重責解雇」だけで、定年退職はどちらにも当たりません。だから待期7日の後から支給対象になり、自己都合退職より1か月早く受け取り始められます。
| 退職理由 | 待期 | 給付制限 | 支給対象の開始 |
|---|---|---|---|
| 定年退職 | 7日 | なし | 待期7日の後から |
| 会社都合 (倒産・解雇など) | 7日 | なし | 待期7日の後から |
| 自己都合 (令和7年4月1日以降) | 7日 | 原則1か月 | 待期7日+1か月の後 |
※定年退職でも、再就職を希望し、いつでも働ける状態で求職活動を行うことが前提です。「定年後しばらく休養する」だけでは失業の状態にあたりません(その場合は下記の受給期間延長の特例を使います)。
何日もらえる?所定給付日数(定年=一般の離職者)
定年退職は「一般の離職者」として扱われ、もらえる日数(所定給付日数)は雇用保険の加入期間だけで決まります。年齢による差はありません。
| 加入期間 | 1年未満 | 1年以上 5年未満 | 5年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 所定給付日数 | — | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
※定年まで長く勤めた方は20年以上に該当することが多く、150日(約5か月)が目安になります。倒産・解雇などの会社都合はさらに手厚い日数になります(失業保険の期間の表を参照)。
いくらもらえる?金額の目安(計算エンジンで算出)
基本手当日額は、離職前6か月の毎月きまって支払われた賃金(賞与を除く)の1日あたりの額に、給付率をかけて計算します。60〜64歳は給付率45〜80%・上限7,623円が適用されます。下は当サイトの計算エンジンで出した概算です(満額を受け取った場合の目安)。
| 例 | 基本手当日額 の目安 | 所定給付日数 | 総額の目安 |
|---|---|---|---|
| 60歳・月給30万 加入25年 | 5,220円 | 150日 | 783,000円 |
| 63歳・月給35万 加入20年 | 5,303円 | 150日 | 795,450円 |
| 62歳・月給40万 加入35年 | 5,999円 | 150日 | 899,850円 |
| 64歳・月給25万 加入10年 | 5,136円 | 120日 | 616,320円 |
※月給が高くても、60〜64歳の基本手当日額は上限7,623円で頭打ちになります。実際の支給は原則4週間ごとの認定単位で、就職や個別事情により変わります。自分の条件での試算は失業保険シミュレーターが便利です。
すぐ働かず休みたい人へ:受給期間延長の特例
失業保険を受け取れる有効期限(受給期間)は、原則離職日の翌日から1年です。ところが、日数(所定給付日数)がまだ残っていても、この1年を過ぎると受け取れなくなります。定年後に「少し休んでから仕事を探したい」という場合、そのまま休んでいると1年の枠が過ぎてしまいます。
そこで、60歳以上の定年等で離職した人は、受給期間を最長1年延長できる特例があります。通常の1年と合わせて、最長2年まで受け取れる枠を確保できます。
| 延長の理由 | 延長できる期間 | 申請期限 |
|---|---|---|
| 60歳以上の定年等で しばらく休養したい | 最長1年 (通常1年+最長1年) | 原則、離職日の翌日から2か月以内 |
| 病気・けが・妊娠・ 出産・育児等ですぐ 働けない | 最長3年 (通常1年+最長3年) | 働くことができなくなった日から30日を過ぎてからできるだけ早く |
定年退職者の延長は申請期限が短い(離職日の翌日から2か月以内)点に注意してください。延長中は基本手当を受け取れませんが、申請しておかないと通常の1年の枠を過ぎて受け取れなくなります。手続きは住所地のハローワークで行います。
65歳の境目と、高年齢雇用継続給付との関係
65歳が大きな境目です。65歳の誕生日の前日までに離職すれば、この記事で説明した64歳以下の基本手当の対象です。65歳以降に離職すると、分割ではなく一時金の高年齢求職者給付金(被保険者期間1年未満で30日分、1年以上で50日分)になります。どちらが有利かは加入期間や働き方で変わります。→ 高年齢求職者給付金とは?65歳以上の失業保険
なお、60〜64歳で再雇用され賃金が下がった場合に受け取れる「高年齢雇用継続給付」は、失業して求職する場合の基本手当とは別の制度です(働き続ける人向けの給付)。本記事の対象とは異なるため、詳細はハローワークにご確認ください。
よくある質問
- Q. 定年退職でも失業保険はもらえますか?
- 64歳以下の定年退職は基本手当(失業保険)の対象です。再就職を希望し、いつでも働ける状態で求職活動を行うことが前提です。日数は加入期間で決まり、10年未満90日・10〜20年120日・20年以上150日。65歳以降の離職は一時金の高年齢求職者給付金になります。
- Q. 定年退職は自己都合ですか?給付制限はかかりますか?
- 給付制限はかかりません。給付制限がかかるのは正当な理由がない自己都合退職(令和7年4月以降は原則1か月)と重責解雇(3か月)だけで、定年退職は当たりません。待期7日が終われば支給対象になり、自己都合より1か月早く受け取り始められます。
- Q. 定年後すぐに働かず、しばらく休みたい場合はどうすればいいですか?
- 60歳以上の定年等で離職した人は、受給期間を最長1年延長できる特例があります(通常の1年+最長1年=最長2年)。申請期限は原則離職日の翌日から2か月以内。休養中は受け取れませんが、延長しないと1年の枠を過ぎるため、早めにハローワークへ申請してください。
- Q. 定年退職の失業保険は何日分もらえますか?
- 定年は一般の離職者扱いで、日数は加入期間だけで決まります(年齢差なし)。1年以上10年未満90日、10年以上20年未満120日、20年以上150日です。基本手当日額は離職前6か月の賃金(賞与除く)から計算し、60〜64歳は上限7,623円・給付率45〜80%です。
- Q. 65歳で定年退職した場合はどうなりますか?
- 65歳以降の離職は、分割の基本手当ではなく一時金の高年齢求職者給付金(1年未満30日分・1年以上50日分)になります。65歳の誕生日の前日までに離職すれば64歳以下の基本手当の対象です。→ 高年齢求職者給付金
自分の場合に「いくら・何日もらえるか」の目安は、失業保険シミュレーターに年齢・加入期間・退職理由(定年は「自己都合・定年など」)・月給を入れると1分で試算できます。月給と年齢から1日あたりの金額をまとめて見るなら失業保険の金額早見表が便利です。
参考にした一次情報
- ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問(雇用保険について)」 — 待期7日は離職理由にかかわらず一律。給付制限がかかるのは正当な理由がない自己都合離職(令和7年4月1日以降は原則1か月、3月31日以前は2か月)と重責解雇(3か月)に限られること。hellowork.mhlw.go.jp(2026年7月22日取得)
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 — 受給期間は原則、離職日の翌日から1年。賃金日額の算定・給付率。hellowork.mhlw.go.jp(2026年7月22日取得)
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」 — 一般の離職者の所定給付日数(加入10年未満90日/10〜20年120日/20年以上150日)。hellowork.mhlw.go.jp(2026年7月22日取得)
- 大阪労働局・ハローワーク「受給期間の延長」 — 60歳以上の定年等による離職でしばらく休養したい場合は最長1年延長(申請は離職日の翌日から2か月以内)。病気・けが・妊娠・出産等は最長3年延長。jsite.mhlw.go.jp(2026年7月22日取得)
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります〜令和7年8月1日から〜」LL070722保01 — 基本手当日額の上限額(60〜64歳=7,623円)・下限額(2,411円)・給付率。mhlw.go.jp(PDF)(2026年7月22日取得・PDF原本を直接確認)
- 本記事の金額例は、上記ハローワークの計算方法・所定給付日数表に基づく当サイトの計算エンジン(koyou-shitsugyo.js)の出力です。