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最終更新: (労働基準法の現行規定に対応)

管理職に残業代は出ない?——「管理監督者」の条件と深夜割増

結論: 「管理職だから残業代は出ない」は正確ではありません。時間外・休日の割増賃金が対象外になるのは、労働基準法41条2号の「管理監督者」に当たる場合だけです。しかも該当するかは役職名ではなく実態で判断され、管理監督者であっても深夜(22時〜翌5時)の割増賃金は必要です。この記事で、混同されやすい「管理職」と「管理監督者」の違いを整理します。

30秒でわかる「管理職と残業代」

よくある誤解「役職が管理職になったら残業代は一切出ない」
正しくは時間外・休日の割増が対象外になるのは労基法41条2号の管理監督者に当たる場合だけ
判断の基準役職名ではなく実態(職務内容・責任と権限、勤務時間の裁量、待遇)で判断
深夜割増は?管理監督者でも深夜(原則22時〜翌5時)の割増賃金は必要(37条4項)
年次有給休暇は?管理監督者でも取得できる(適用除外に含まれない)
迷ったら労働基準監督署内の総合労働相談コーナー労働条件相談ほっとライン

自分の残業代のめやすは残業代計算ツールで概算できます。割増率のまとめは残業代の割増率まとめをどうぞ。

1. 「管理職=残業代なし」はなぜ誤解なのか

「管理職になったら残業代は出ない」と説明されることがありますが、労働基準法にそのようなルールはありません。残業代(時間外・休日の割増賃金)の支払いが義務づけられないのは、法律上の「管理監督者」に当たる人だけです。ここでいう管理監督者は、会社が呼ぶ「管理職」や「課長・部長」といった役職名とは別の概念です。

労働基準法41条は、一定の労働者について「労働時間・休憩・休日に関する規定は適用しない」と定めており、その2号に「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」が挙げられています。つまり、管理監督者に当たると、法定の労働時間の枠(1日8時間・週40時間)や休日のルールが外れるため、その枠を超えたことに対する時間外・休日の割増賃金が義務づけられなくなる、という仕組みです。

2. 「管理監督者」とは——名称でなく実態で判断

では、どんな人が管理監督者に当たるのでしょうか。行政解釈では、41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」とは「部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」とされ、「名称にとらわれず、実態に即して判断すべきもの」と示されています。判断のめやすとして、次のような点が挙げられています。

①職務・責任と権限労働条件の決定など、労務管理について経営者と一体的な立場といえる職務内容・責任・権限があるか
②勤務時間の裁量出退勤などについて厳格な管理を受けず、自分の労働時間を自分の裁量で決められる立場にあるか
③待遇地位にふさわしい賃金(基本給・手当・賞与)などの待遇を受けているか(役職手当が付くだけでは足りないとされます)

これらは総合的に判断されるもので、いずれか一つだけで決まるわけではありません。この記事は一般的な考え方の整理であり、特定の人が管理監督者に当たるかどうかを判定するものではありません。実際の該当性は個別の事情によるため、労働基準監督署などの公的窓口にご確認ください。

3. 「名ばかり管理職」——肩書きだけでは対象外にならない

役職として「管理職」「店長」「マネージャー」などの肩書きが付いていても、実態が上の①〜③を満たさない場合は、法律上の管理監督者には当たりません。この場合は一般の労働者と同じく、時間外・休日・深夜の割増賃金の対象になり得ます。肩書きを付けただけで残業代の支払いを免れることはできない、という点が「管理監督者は実態で判断する」というルールの意味です。

なお、自分が管理監督者に当たるか当たらないかを、この記事や計算ツールで断定することはできません。判断に迷う場合や気になる点がある場合は、後述の公的な相談窓口を利用できます。

4. 管理監督者でも「深夜割増」は必要

見落とされやすいのが深夜手当です。労働基準法41条で適用除外になるのは「労働時間・休憩・休日」に関する規定で、深夜業の割増賃金(37条4項)はこの適用除外に含まれません。そのため、管理監督者であっても、深夜(原則として午後10時から翌午前5時まで)に働いた分については、深夜割増賃金を支払う必要があります。

深夜割増の率は、通常の労働時間の賃金の25%以上です。たとえば割増賃金の基礎となる時給が1,500円の人なら、深夜1時間あたり375円(1,500円×25%)以上の深夜割増が加わる計算になります(当サイトの計算エンジンによる算定)。

また、深夜割増と同じく年次有給休暇も41条の適用除外に含まれないため、管理監督者でも取得できます。金額の考え方は残業代の割増率まとめ、自分のケースの概算は残業代計算ツールで確認できます。

5. 迷ったときの公的な相談窓口

「自分は管理監督者に当たるのだろうか」「残業代の扱いがおかしいかもしれない」と感じたときは、次の公的窓口で相談できます。いずれも無料で、匿名での相談も可能です。

受付時間などの最新情報は、各窓口の公式ページでご確認ください。当サイトは相談の受付や個別のあっせん・請求の代行は行っていません。

6. 次に確認したいこと

よくある質問

Q. 管理職には残業代が出ないのですか?
「管理職だから残業代は出ない」は正確ではありません。時間外・休日の割増賃金が対象外になるのは、労働基準法41条2号の「管理監督者」に当たる場合だけです。会社で管理職と呼ばれていても、労働基準法上の管理監督者に当たるかは役職名でなく実態(職務・権限・時間の裁量・待遇)で判断され、当たらない場合は割増賃金の対象になり得ます。
Q. 管理監督者とはどういう人ですか?
労働基準法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」で、行政解釈では「部長・工場長など、労務管理について経営者と一体的な立場にある者」とされ、名称でなく実態で判断すべきものとされています。めやすは、経営者と一体的な職務・責任・権限があるか、労働時間に裁量があるか、地位にふさわしい待遇を受けているか、です。個別の該当性は労働基準監督署などにご確認ください。
Q. 管理監督者でも深夜手当は出ますか?
はい。41条で適用除外になるのは「労働時間・休憩・休日」の規定で、深夜業の割増賃金(37条4項)は含まれません。そのため管理監督者でも、深夜(原則22時〜翌5時)に働いた分は通常の賃金の25%以上の深夜割増が必要です。年次有給休暇も同様に取得できます。
Q. 「名ばかり管理職」でも残業代は出ないのですか?
肩書きが管理職でも、実態が管理監督者の要件を満たさなければ労働基準法上の管理監督者には当たりません。その場合は一般の労働者と同じく時間外・休日・深夜の割増賃金の対象になり得ます。判断は名称でなく実態によるため、気になる場合は総合労働相談コーナーや労働条件相談ほっとラインで相談できます。

参考にした情報(一次情報・取得日2026年7月22日)

本記事は一般的な制度の解説です(2026年7月時点。労働基準法および厚生労働省・労働局の公表資料に基づく概算・目安)。特定の人が管理監督者に当たるかどうか、また残業代が支払われるべきかどうかを判定するものではありません。実際の取り扱いは個別の事情により異なり、判断に迷う場合は労働基準監督署などの公的窓口にご相談ください。個別のご相談には対応していません。
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