最終更新: (2026年7月時点の制度に基づく)
退職金に確定申告は必要?申告で税金が戻るケースをやさしく解説
結論: 「退職所得の受給に関する申告書」を会社に出していれば、退職金だけなら原則、確定申告は不要です。出していない場合は一律20.42%が源泉徴収され、確定申告をすると多くは還付(払い過ぎの返金)になります。また、医療費控除やふるさと納税などがある年は、申告した方が得なことがあります。
📌 まず確認: 退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出しましたか?提出していれば原則そのまま完結、していなければ確定申告で取り戻せる可能性が高い、というのが分かれ道です。
原則:申告書を出していれば確定申告は不要
退職金は給与とは分けて課税される「退職所得」で、勤続年数に応じた退職所得控除を差し引き、残りの2分の1にだけ課税されます。「退職所得の受給に関する申告書」を退職金の支払時までに会社へ提出していれば、会社が正しい税額を計算して源泉徴収し、その場で課税が完結します。そのため、退職金だけであれば原則として確定申告は必要ありません(国税庁 No.1420・No.2732)。
申告書を出していないと20.42%源泉→申告で還付
この申告書を出さなかった場合、退職金の支払金額に一律20.42%を掛けた所得税・復興特別所得税が源泉徴収されます。退職所得控除も2分の1課税も反映されない高めの金額なので、本人が確定申告をすると、本来の税額との差額が精算され、多くの場合は還付されます(国税庁 No.2732)。
たとえば、当サイトの退職金の手取り計算で試算すると、次のような差が出ます(勤続38年・退職金1,896万円のモデル)。
| 申告書を提出済み | 退職所得控除2,060万円が退職金を上回り、所得税・住民税は0円(全額が手取り) |
|---|---|
| 申告書が未提出 | 支払金額×20.42%=約387万円が源泉徴収される → 確定申告でほぼ全額が還付されうる |
上記は概算です。金額と勤続年数を入れて、自分のケースの差を確かめておくと、申告の要否を判断しやすくなります。
退職金の手取り・税額を試算する申告書を出していても「申告した方が得」なケース
申告書を提出して源泉徴収が完結していても、次のような年は確定申告をすると税金が戻ることがあります。退職金は分離課税ですが、他の所得で引き切れなかった所得控除は、確定申告で退職所得にも適用できるためです。
- 年の途中で退職し、その年の給与が少ない: 基礎控除・社会保険料控除・生命保険料控除などを給与から引き切れず「使い残し」がある場合、申告で退職所得に回せることがある。
- 医療費控除がある: その年に医療費が多くかかった場合。
- ふるさと納税(寄附金控除)がある: ワンストップ特例を使っていない、または退職で使えないケース。
- 住宅ローン控除の初年度など、確定申告が前提の控除がある。
- 不動産所得・事業所得などで損失が出た: 一定の損失は他の所得と損益通算できる場合がある。
戻る金額は人により大きく異なります。「使い残した控除があるか」が目安です。判断に迷うときは税務署(無料)や税理士に確認しましょう。
確定申告の進め方(還付を受ける場合)
大まかな流れは次のとおりです。
- ①書類を集める: 会社が発行する「退職所得の源泉徴収票」が基本。あわせて給与の源泉徴収票、医療費明細、ふるさと納税の寄附金受領証明書、各種控除証明書など。
- ②申告書を作成: 国税庁「確定申告書等作成コーナー」などで、退職所得と他の所得・控除を入力。
- ③提出: e-Taxまたは税務署へ。還付のための申告(還付申告)は、退職した年の翌年1月から5年間提出できます(通常の確定申告期間〈原則2/16〜3/15〉を過ぎても可)。
📝 「退職所得の受給に関する申告書」の書き方そのものは、別記事の退職所得の受給に関する申告書の書き方で解説しています。本記事は「確定申告が必要かどうかと、その手順」を扱います。
よくある質問
- Q. 退職金に確定申告は必要ですか?
- 「退職所得の受給に関する申告書」を退職金の支払時までに会社へ提出していれば、退職金だけなら原則として確定申告は不要です。提出しなかった場合や、医療費控除・ふるさと納税などで申告した方が得な場合は確定申告をします。
- Q. 申告書を出していないと退職金の税金はどうなりますか?
- 退職金の支払金額に一律20.42%を掛けた所得税・復興特別所得税が源泉徴収されます。退職所得控除や2分の1課税を反映していない高めの金額なので、確定申告をすると本来の税額との差額が精算され、多くの場合は還付になります。
- Q. 退職金を申告すると税金が戻ることがあるのはなぜですか?
- 1つは、申告書未提出で20.42%が源泉徴収された場合に、確定申告で退職所得控除・2分の1課税・累進税率を適用し直すと払い過ぎが戻るため。もう1つは、退職で収入が減った年に、基礎控除・社会保険料控除・医療費控除などを他の所得から引き切れなかったとき、申告でその使い残しを退職所得にも適用できるためです。
- Q. 退職金の確定申告に必要なものは何ですか?
- 会社発行の「退職所得の源泉徴収票」が基本です。あわせて給与の源泉徴収票、医療費明細、ふるさと納税の受領証明書、控除証明書など、適用したい控除の書類を用意します。還付のための申告は翌年1月から5年間できます。
参考にした一次情報
- 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」 — 退職所得の分離課税・退職所得控除・2分の1課税、申告書提出時は原則確定申告不要。nta.go.jp(2026年7月22日取得)
- 国税庁「No.2732 退職手当等に対する源泉徴収」 — 「退職所得の受給に関する申告書」の提出有無による源泉徴収の違い。未提出時は支払金額×20.42%を源泉徴収し、確定申告で精算。nta.go.jp(2026年7月22日取得)
- 国税庁「No.2030 還付申告」 — 還付申告書は確定申告期間と関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出可能。nta.go.jp(2026年7月22日取得)
- 試算値は当サイトの退職金手取り計算エンジン(国税庁・総務省の計算式に基づく確定計算)の出力です。