最終更新: (2026年度・令和8年度の制度に対応)
学生納付特例とは?——「未納」との違いと、追納の判断
結論から言うと、学生納付特例は「未納」とはまったく違う制度です。申請しておけば、その期間も年金を受け取るのに必要な受給資格期間に数えられ、在学中に万一のことがあったときの障害年金などの備えも守られます。ただし申請した期間は将来の老齢基礎年金の額には反映されないため、社会人になってから10年以内に「追納」すれば満額の水準に近づけられます。「払わない」ではなく「後から取り戻せる形で先送りする」制度、と考えると分かりやすいです。
学生納付特例とはどんな制度か
20歳になると学生でも国民年金への加入と保険料の納付が必要になりますが、収入の少ない学生がすぐに納められないことは珍しくありません。学生納付特例は、そうした学生本人の申請により、在学中の国民年金保険料の納付を先送り(猶予)できる制度です。対象になるかどうかは本人の前年所得だけで審査され、親や世帯の所得は問われません。所得の基準は日本年金機構の表記で「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」です(令和8年度)。
ここでいう学生の範囲は幅広く、大学(大学院)・短期大学・高等学校・高等専門学校・特別支援学校・専修学校および各種学校などに在学する方が対象です。夜間・定時制課程や通信課程で学ぶ方も含まれますので、「昼間の学生ではないから使えない」と思い込まずに確認してみてください。
出典: 日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」(2026年7月時点)。
「未納」と何が違うのか——ここが一番大事
同じ「払っていない」でも、申請した学生納付特例と、手続きをしない未納とでは扱いがまったく異なります。学生納付特例の期間は、年金を受け取るために必要な受給資格期間(原則10年・120か月)に算入されます。未納の期間はこの受給資格期間に算入されません。
さらに大きいのが、万一への備えです。日本年金機構は、学生納付特例制度の承認を受けている期間は「保険料納付済期間と同様に当該要件の対象期間になる」としています。つまり在学中に病気やけがで障害が残ったり亡くなったりして一定の要件に該当する場合、障害基礎年金・遺族基礎年金の対象になり、保険料を実際に納めた期間と同じように保障が確保されます。一方、手続きをせず未納のままだと、こうした保障を受けられない場合があります。年金額に反映されないからといって放置せず、申請しておく意義はここにあります。
出典: 日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」(2026年7月時点)。
デメリットは「そのままだと年金額に反映されない」こと
学生納付特例の期間は受給資格期間には数えられますが、老齢基礎年金の額の計算には含まれません。つまり追納しないままだと、その期間のぶんだけ将来受け取る年金額が少なくなります。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 受給資格期間 | 算入される(未納は算入されない) |
| 老齢基礎年金の額 | 反映されない(追納で回復できる) |
| 4年間(48か月)を追納しない場合の減少額 | 将来の年金が年およそ84,730円少なくなる概算 |
減少額は、令和8年度の老齢基礎年金の満額847,296円(新規裁定)を基準に、48か月ぶんが年金額に反映されない前提で手取りナビが試算した概算です。将来の年金額は制度改定などで変わります。出典: 日本年金機構(満額・学生納付特例)。
追納すれば取り戻せる——10年以内・古い期間から
学生納付特例の期間は、後から保険料を納める「追納」ができます。追納するとその期間が保険料を納めた期間として扱われ、老齢基礎年金の額を満額の水準に近づけられます。追納できるのは追納が承認された月の前10年以内の期間です。就職して収入が安定してから追納する人が多い制度です。
注意点として、特例を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に加算額が上乗せされます。追納は原則として古い期間から行います。国民年金保険料は令和8年度で月17,920円(定額)なので、まとまった月数を追納するとそれなりの金額になります。加算額の具体的な金額は年度ごとに定められているため、追納を考えるときは年金事務所で最新の追納額を確認してください。
出典: 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」「国民年金保険料」(2026年7月時点)。
手続きは毎年度必要——自動では続かない
見落としやすいのが、学生納付特例は自動では継続しないという点です。複数年度にわたって利用したい場合は、年度ごとに申請書を提出する必要があります。「一度出したから在学中はずっと大丈夫」ではないので、進級のたびに手続きを忘れないようにしましょう。
申請先は次のいずれかです。
- 住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金担当窓口
- お近くの年金事務所
- 在学中の学校等(学生納付特例の代行事務を行う許認可を受けている学校に限ります)
就職して年度の途中で会社の厚生年金に加入した場合など、状況が変わったときの取り扱いもあわせて確認しておくと安心です。
出典: 日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」(2026年7月時点)。
よくある質問
- Q. 学生納付特例は「未納」とどう違いますか?
- 申請した期間は受給資格期間(原則10年・120か月)に算入されますが、手続きをしない未納の期間は算入されません。また日本年金機構は、学生納付特例の承認を受けている期間は保険料納付済期間と同様に障害基礎年金・遺族基礎年金の対象期間になるとしており、在学中の万一のときの保障も確保されます。未納のままだとこの保障を受けられない場合があるため、放置せず申請することが大切です。
- Q. 学生納付特例を使うと将来の年金はどのくらい減りますか?
- 特例の期間は老齢基礎年金の額の計算に含まれません。4年間(48か月)追納しなかった場合、令和8年度の満額847,296円を基準にすると将来の年金は年およそ84,730円少なくなる概算です(手取りナビの試算)。追納すればこの分を取り戻せます。
- Q. 卒業後に追納した方がよいですか?
- 追納すると老齢基礎年金の額を満額の水準に近づけられます。追納できるのは承認された月の前10年以内の期間で、翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合は当時の保険料額に加算額が上乗せされます。追納は原則として古い期間から行います。
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