給料の「引かれるお金」がぜんぶわかる

最終更新: (2026年度・令和8年分の基準に対応)

特別支給の老齢厚生年金の手取りはいくら?——60〜64歳の税金と在職老齢年金

結論から言うと、特別支給の老齢厚生年金も「老齢年金」の一種なので、税金の扱いは通常の年金と同じです。ポイントは年齢。65歳未満は公的年金等控除が小さいぶん所得税がかかりやすい一方、住民税・介護保険料の年金天引きは65歳以上が対象なので、64歳までは年金から天引きされません。つまり64歳までの「年金天引き」は所得税が中心で、手取りは比較的高めになりやすい、というのが全体像です。ただし働きながら受け取ると在職老齢年金で支給が一部止まることがあります。

特別支給の老齢厚生年金とは

かつて60歳だった厚生年金の支給開始年齢を65歳へ引き上げる過程で、経過措置として設けられたのが「特別支給の老齢厚生年金」です。厚生年金の加入期間が一定以上あり、生年月日が対象範囲にある方が、65歳より前に報酬比例部分などを受け取れます。生年月日により受け取り始める年齢が段階的に上がっているため、対象かどうか・何歳から受け取れるかは、ねんきん定期便や日本年金機構の案内で確認するのが確実です。受け取れる場合でも、税金や在職老齢年金の考え方は下記のとおりです。

出典: 日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」(2026年7月19日取得)。

手取りの考え方——64歳までは「所得税」が中心

年金の所得税(源泉徴収)は「(年金額 − 社会保険料 − 各種控除額)× 5.105%」で計算されます。65歳未満は公的年金等控除が65歳以上より小さいため、扶養親族等申告書を提出した単身・年金のみの方なら、年金額がおおむね164万円を超える部分から所得税がかかります(令和8年分)。一方で、次の2つは64歳までは年金から天引きされません

そのため、特別支給の老齢厚生年金そのものからの天引きは所得税(かかる場合)が中心で、住民税・介護保険料は「年金とは別の形で」負担することになります。具体的な手取りは年金の手取りシミュレーションで年齢区分を「65歳未満」にして試算できます。年金額別の目安は年金の手取り額 早見表の65歳未満の表もどうぞ。

出典: 日本年金機構「源泉徴収税額の計算方法」、国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」、総務省「公的年金からの特別徴収」(いずれも2026年7月19日取得)。所得税以外は市区町村により金額が異なる目安です。

働きながら受け取るときは「在職老齢年金」に注意

特別支給の老齢厚生年金も老齢厚生年金なので、厚生年金に加入して働きながら受け取る場合は「在職老齢年金」の対象になります。年金の基本月額(加給年金額を除いた月額)と、給与・賞与から計算する総報酬月額相当額の合計が基準額を超えると、超えた分の半額が支給停止されます。計算式は「基本月額 −(基本月額 + 総報酬月額相当額 − 基準額)÷ 2」です。

この基準額(支給停止調整額)は、令和7年度以前の51万円から、令和8年度(2026年4月分)以降は65万円に引き上げられました。基準額が上がったことで、同じ働き方でも支給停止が緩和され、受け取れる年金が増える人がいます。なお、これは税金を引く前の「支給される年金額」が変わる話で、手取りはそこから所得税などを差し引いた額になります。

出典: 日本年金機構「在職老齢年金制度が改正されました」「在職老齢年金の計算方法」(いずれも2026年7月19日取得)。支給停止の有無・金額はご自身の年金額と報酬で変わるため、年金事務所でご確認ください。

よくある質問(FAQ)
Q. 特別支給の老齢厚生年金の手取りはどう計算しますか?
A. 課税の扱いは通常の年金と同じです。単身・年金のみで扶養親族等申告書を出していれば、65歳未満は年金額164万円を超える部分から所得税(源泉徴収)がかかります。住民税・介護保険料の年金天引きは65歳以上が対象のため、64歳までは年金からは引かれません。手取りは年金の手取りシミュレーションで試算できます。
Q. 働きながらもらうと年金は減りますか?
A. 厚生年金に加入して働くと在職老齢年金の対象になり、基本月額と総報酬月額相当額の合計が基準額を超えると超過分の半額が支給停止されます。基準額は令和8年度(2026年4月分)以降、51万円から65万円に引き上げられました。
Q. 住民税や介護保険料は64歳までかかりませんか?
A. かからないわけではなく、「年金天引きにならない」だけです。住民税は納付書や給与天引きで、介護保険料は健康保険料・国民健康保険料に含めて64歳までは別途負担します。年金天引きが始まるのは65歳以上です。

65歳以上も含めた年金額別の目安は年金の手取り額 早見表、天引きの全体像は年金から天引きされるものは何?で解説しています。今の手取りは年金の手取りシミュレーションへ。

本ページの内容は概算・目安です。全国一律で計算できるのは所得税(源泉徴収)のみで、日本年金機構・国税庁の令和8年分の公表資料に基づきます(扶養親族等申告書の提出を前提)。住民税・介護保険料・医療保険料は市区町村により異なります。在職老齢年金の支給停止の有無・金額はご自身の年金額と報酬により変わります。障害年金・遺族年金は非課税です。個別の税務・年金相談には対応していません。正確な金額は日本年金機構・市区町村窓口でご確認ください。
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